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日本の津波の豆知識【未来の地震へ向けた防災減災と備え】

大地震で起きやすい日本の津波について、基本的なことから実践的なものまでしっかりと知識を蓄え、いつでも引き出せるように備えるためのコンテンツです。

津波の豆知識

巨大な動く水のかたまり

「津波の高さ30cm」などと聞くと「大したことない」と思う人もいるかも知れませんが、津波は洗面器に張った水とも、プールとも違います。

人を超える高さと、人工的には造れない動きと、自動車並みのスピードをもって襲いかかります

さらに津波は海底のヘドロや道中のガレキ、場合によっては家屋や自動車のような大きく重いものをも巻き込んで流れてくるのです。

正直な話、30cmの津波だとしても成人男性の足元を簡単にすくっていきます

そして理論上、1mの津波によって人間が亡くなる可能性が100%になると言われています。

Youtube動画で「中央大学 津波」などで調べると、中央大学にある津波体験施設での動画があります。

人がこれほどまでに簡単に流されるのかということが理解できると思うので、ご覧になれる人は観てみてください。

津波警報・津波注意報

現在、津波の警報・注意報は以下の基準で運用されています。

気象庁ホームページより引用

まず、マグニチュード8を超えるような巨大地震においては、津波情報は即時性を重視するため、また詳細情報を入手するまでに少し時間がかかるため、これからくると予想される津波を「巨大」「大きい」という表現にしぼって発表します

数値ではなくこのような言葉を使うことで、非常事態であることや高いところへ逃げるという行動にいち早く移してもらえるような工夫をしています。

次に、津波の正確な情報が分かり次第、予想される津波の高さを「1m」「3m」「5m」「10m」「10m以上」の5段階に分けて発表します。

津波の予想高さは、大津波警報が3m以上、津波警報が1m~3m未満、津波注意報が20cm~1m未満です。(下図参照)

津波注意報の下に「津波予報」というのもあって、こちらは予想高さが20cm未満のときに「若干の海面変動が予想されます」という表現で発表されます。

「津波予報」は、津波ではあるものの人的被害がないときに発表するのですが、情報を聞いた人の不安をあおるようなことにならないようにという配慮です。

これが地震後の最初の情報の場合はまったく心配ありませんが、警報・注意報からランクを下げての若干の海面変動の場合、海に渦を巻く小さな流れが生まれていたりして海中にいるのは危険となりますので、ただちに海面から上がる行動が必要です。

また、大津波警報や津波警報発令時、津波到達高さを「計測中」と表現している場合、その時の観測数値が最大だという誤解を生じないための配慮、すなわちこれからさらに大きな津波がやってくるという予測ですので、油断せずに避難を続けてください。

津波は第一波が最大とも限らないし、第一波で終わるものでもないからです。

これまでの歴史でも、津波の過小評価が甚大な被害を招いた例があります。そのため各区分においての最大値を発表値としています。

津波予測の方法

現在は、日本の各エリアにおいて様々な状況において津波が発生した場合のシミュレーションをスーパーコンピューターで解析しています。

その膨大なデータベースをあらかじめ用意しておくことで、いざ地震が起きたときにこのエリアでのこのタイプの地震ではどういった津波が予測されるかを引っ張り出して、地震後おおよそ3分というスピードで発表しています。

それより以前はすべて手作業での解析だったため、津波が到達してからの発表ということも珍しくなく、被害も大きくなりがちでした。

とはいえ、現在の予測方法においても、能登半島地震のときのような内陸直下の活断層型の地震だと、揺れが伝わるまでが速く、発表が間に合わないといったことも考えられます。

ですから、河川付近にいるときに大きな揺れを感じたら、警報を待つことなく自主判断で高い場所へ避難することも重要になってきます

地震以外での津波

津波を引き起こす要因になるのはたいていの場合、日本での地震なんですが、まれにそれ以外のもののときもあります。

【火山の噴火による津波】

例えば、2022年に発生したフンガ・トンガ火山の噴火によって大小の世界的な津波が発生し、日本でも津波注意報を発令する事態になりました。

国内だと1741年に北海道西方沖の無人島、渡島大島の噴火による津波が発生し、犠牲者も出ています。

【海底の地すべりによる津波】

2011年東北地方太平洋沖地震、2003年十勝沖地震、1771年八重山地震などは、地震の揺れによる津波の他、緩い傾斜を土砂が一気に崩れる「海底地すべり」も要因とされています。

海域が震源の地震では、海底の地盤が沈降したり隆起したりする「上下のズレ」が原因の場合が多いですが、海底地すべりはこれとは異なるものです。

【陸地の地すべりによる津波】

1958年、アメリカのリツヤ湾で地震による山の斜面が崩壊する「山崩れ」が起き、海中になだれこんだ土砂や氷塊が大きな津波を引き起こしました。

対岸での波高は524mに及び、これは現在でも観測史上最大の値です。

1963年にはイタリアで建設中だったバイオントダムを囲む山の地すべりが起き、流れ込んだ大量の土砂がダムの水を押し出し、渓谷の街を襲いました。

番外編 国外の地震による津波】

こちらは地震での津波なんですが、国外で起きた地震が引き起こした津波を紹介します。

1960年の南米チリ地震では、真逆の日本への津波もありました。

このチリ地震は現在でも世界で最大のマグニチュード9.5の超巨大地震で、はるか遠方なので日本への地震の揺れはなかったものの、津波は太平洋を渡り、日本へと襲来しました。

津波と波浪

「津波と波浪は違うものなのか?」という疑問をよく目にします。

答えは「違うもの」です。

正確には、海水が動くという意味では同じですが、海水を動かす要因が違います

別の記事でも解説しましたが、津波は海底の地盤(断層)がズレ動いた振動がそっくりそのまま海水へと伝わることで起きるものです。

↓その別記事はこちら↓

津波はどうやって起こる?【防災減災につなげる知識と備え】

それに対して波浪とは、風が海上を吹くことで起きる波長の短い波です。

よく風が強い日の海面に、細かい波や白い波を見ることができますが、これが波浪です。

つまり、津波は海底からの振動による海全体の揺れ、波浪は風による海面のみの揺れなのです。

お分かりだと思いますが、津波と波浪ではエネルギーがまったく違います。

水全体の動きと、水の表面のみ動きの違いです。

ちなみに台風シーズンなどに「高波・高潮」という言葉を聞くと思いますが、これらも津波とは違います。

高波も波浪も風要因ですが、高波のほうが波の高さが高いです。

また、高潮は台風の気圧変化による要因で、海面の吸い上げなどにより水位そのものが増しており、災害リスクも高まります。

津波が起きやすい要因

最後に、津波を引き起こす地震とはどんな特徴が多いと言えるのか、解説して終わろうと思います。

これらは日本において津波が起きた地震に多く見られる客観的・統計的な特徴であり、すべてが条件として当てはまるものではないことだけご了承ください。

  1. 震源が海域
  2. 震源の深さが浅い(50km程度まで)
  3. 断層タイプが正断層か逆断層
  4. 海底地盤のズレの他に要因が重なっている

1についてですが、津波を起こす要因となるのが「海底地盤(断層)のズレによる衝撃」であり、「地震波そのものではない」ことから、地震の揺れの大きさそのものよりも断層ズレの衝撃の大きさが深く関わってきます。

つまり、海底に近い震源(陸と海のプレートの境界)の地震【これを海溝型地震と言います】が起きると津波発生の可能性があります。

2についてですが、震源が陸のプレートとなる(浅すぎる)場合、海域ではないので津波は起きにくくなります。

また逆に、震源が深すぎると海のプレートの内部深く【これをスラブ内地震と言います】での地震となり、ズレの衝撃も伝わりにくくなります。

この中間が断層のズレの振動が一番伝わりやすく、とりわけ断層の中央ではなく、表面に近い部分になるほど海全体を動かす衝撃になります。

場所によってそのエリアは違いますし、おおよそではありますが、震源の深さとして50kmよりも浅いところでの地震となります。

3についてですが、海底地盤(断層)のズレというのは左右(横)のズレよりも上下(縦)のズレのほうが海全体を動かすということは分かるかと思います。

断層タイプには何種類かあって、そのうちの正断層と逆断層が縦ズレの動きになるので、より海全体を動かしやすいです。(下図参照)

気象庁ホームページより引用

また、正断層が引っ張りあう力による縦ズレなのに対し、逆断層は押し合う力による縦ズレになるため衝撃がより強くなり、大きな津波になりやすくなります。

そして4についてですが、私はこれが一番大きな要因だと思っています。

例えば東北地方太平洋地震は地震の規模や震度はもちろん大きかったですが、さきほども申し上げたようにその地震に海底地すべりが重なっていたなどとも言われています。

海底地盤の縦ズレに加えて地すべりがあったとなると、相乗効果で被害が大きくなります

また、この地震では本震の前にスロースリップ(ゆっくり地すべり)も起きていたとされています。

スロースリップは、通常の地すべりや海底地すべりと違い、一気にではなく、じわじわと崩れていくものです。

そうなると本震前にスロースリップによって滑りやすく壊れやすい状態にあった海底地盤が本震によって一気に崩れ、さらに海底地すべりも起こしていたことに。

つまり、みっつもの要因が複雑に絡み合った津波であったとも考えられるのです。

また、令和6年能登半島地震では地下でなんらかの流体(液体状のもの)が断層を滑りやすく壊れやすい状態にしていたとも言われています。

加えてズレた断層が海底にあったことや、富山湾で海底地すべりがあったとも言われていて、別の津波を誘発させた可能性があります。

そして地形的なこととして、能登半島東岸は浅瀬が広がり、そこから沖は比較的深水があるエリアになるのですが、津波は深いところから浅いところへ動く性質があるのです。

そのため、複数の場所で起きた津波が結果的に能登半島東岸に集まることになり、珠洲は大きな津波被害を受けたと考えられています。

このように、1~3の要因が含まれていなくても、他の要因が重なったときには相互作用で津波が起こる可能性もあるため、注意が必要なのです。

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