ときおり「会話のキャッチボール」という言われ方がされますが、しっかりした言葉のようで実際あまり意味がよくわからない人は結構いるのではないでしょうか?
そういう私も、頭ではなんとなく分かっているけど、説明するとなると案外難しくなるかなと思っています。
今回は、分かりやすいようで分かりにくい、この「会話のキャッチボール」というものがなんなのか解説していきます。
その中で、会話の良い例と悪い例をまじえながら、最終的に目指すべき理想の会話はどんな形なのか?ご紹介していきます。
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会話のキャッチボールとは
そもそも「キャッチボール」がなんなのか、知らない人のために説明しておきます。
キャッチボールは、主にふたりの人がひとつのボールを交互に投げる・受ける行為を繰り返すことです。
野球においておこなわれる「肩慣らし」のような準備運動ですが、これに会話がくっつくとどんな意味になるでしょうか。
さきほどのキャッチボールでの動作「ひとつのボールを交互に投げる・受ける」から考えてみると分かりやすくなります。
つまり、片方が発した言葉に対してもう片方がまず受けて、受けた言葉を返す言葉に変えて投げる。こう言えます。
そう考えると、「会話=キャッチボール」ということになり、「会話のキャッチボール」という言葉は、同じような意味の言葉を重ねているといってもいいでしょう。
そして、会話(キャッチボール)でのいくつか満たされるべき条件が浮かんできました。
今回は厳選して3つの条件にします。
会話が成立するための条件
せっかくなので、キャッチボールに例えた表現で、会話成立の条件を3つ挙げます。
会話成立条件3つ
- ボールを投げる・受けるを交互に繰り返す
- ボールはひとつだけ
- ボールを打ってはダメ
それでは、それぞれの解説をしていきます。
投げる・受けるを交互に繰り返す
ボールを投げる・受けるを交互に繰り返すのがキャッチボールだとお話ししました。
ということは、片方が投げるだけ・受けるだけを続けるのはキャッチボールではなくなるということですね。
会話例を見てみましょう。
さくらこさんて好きなものとかある?
う~ん・・・。そうだ!料理するのとか好きだよ。
へ~、料理?じゃあおうちで自炊とかもするの?
うん、するする。お金も節約したいしね。
一見会話が成り立っているようにも思えるのですが、内容を見てみると、ごんざぶろうは質問・聞き手側、さくらこさんは回答・話し手側に完全に分担されています。
このように、投げる人と受ける人が決まってしまっているとなにがいけないのかというと、投げる人が投げるばかりで疲れてしまうことです。
例は男女での会話なので、一般的におしゃべりが得意な女性が話し手に回ることが多くなりがちなのは仕方がないと思います。
ですが、それにしても100:0の比率では、投げ続けている人の負担が大きすぎます。体も壊してしまうかもしれません。
また逆に、会話はキレイに一回ずつ交互でなくてもいいとも思います。
どちらかがゼロになるような大きなかたよりは避けたほうがいいということです。
ボールはひとつだけ
キャッチボールをする上で、使うボールはひとつです。ふたりならふたりでひとつのボールを投げて受けます。
受けたボールを返さずに、ボールを複数用意して毎回別のボールを返すのはよくないということですね。
会話例を見てみましょう。
昨日野球博物館にいってきたんだ。
さっき食べたレアチーズケーキおいしかった!
にしても今日寒くない?
前髪気になるなあ。そろそろ切ろうかな。
この例は、一見すると交互に言葉をかけあっていてうまくいっているような会話な気がしますが、お分かりのとおりまったく話がかみあっていません。
受けたボールと返すボールを別にしてしまうと、どれを受ければいいか、どのくらい用意しているのかがよく分かりません。
そしてお互いに何の話をしているのか分からなくなり、やがてボールを受け取ることすら困難になってきます。
話を広げていくのは大事なことですが、お互いの共通の話題にしましょう。
ボールを打ってはダメ
当たり前の話ですが、バットを持ち出して受けるボールを打ち返してしまったら、もはやそれはキャッチボールではありません。
言ってみれば大きなルール違反です。
「会話」というものを無視して別の行動をとればキャッチボールにはなりません。
会話例を見てみましょう。
アッ!お気に入りの腕時計が壊れてる・・・。
扱いが雑だからでしょ。
いや、特に悪い使い方は・・・。
言い訳ばっか。
この例は交互に言葉をかわしており、話題も共通のもの。
ところが同じひとつのボールでも、投げ返すのと打ち返すのではボールのスピードも行為自体もまったく違う。
相手をおとしめる目的、会話を続けるつもりのない言葉は、そこで会話を終わらせ、関係も悪くさせます。
ということで、ここまでをまとめて会話のポイントを挙げるなら、次の3つになります。
会話のポイント
- 話し手と聞き手を交代しながら進める
- 共通する話題の軸で進める
- 話を続ける姿勢をもって進める
良い会話例
ここまでは会話の悪い例を挙げてきましたので、「じゃあどういう会話にすればいいのか?」という一例を挙げておきます。
会話のポイント3つをふまえた良い会話の例は次のとおりです。
おはよう。さくらこさん、そのヘアクリップかわいいね。
ごんざぶろうくん、おはよう。そうでしょ?褒めてくれてありがとね。
たまたまとおりかかったショップにおいてあったのを見て「これは買い!」って即買っちゃった。
値段も手ごろだったし。
ごんざぶろうくんも髪型かっこいいよ。
あ、ホント?サンキュ。美容室で髪切ろうと思ったのはいいけど、いい髪型がなくて。
美容師さんにおまかせで切ってもらったんだ。
もともとクセッ毛だから、ストレートでキレイにまとまるさくらこさんがうらやましい。
ふふ、ありがとう。
でもストレートだと変化をつけるのが難しいから、今度美容院にいくときは軽く動きを入れてもらおうかな。
はい、どうでしょうか。多少作りこみすぎた感はありますが(笑)。
話し手と聞き手をうまく交代してお互いが話せる機会を生み出しながら、「見た目」「髪」から連想される共通の話題を軸にする。
話を続ける姿勢をもって進めているので会話にスムーズな流れも生まれ、おまけにあいさつと感謝の言葉まで飛び出している。
本題からは多少ズレますが、相手を褒めたり感謝の言葉を言い合ったりすることでお互い気持ちよくもなります。
女性は一般的におしゃべりが得意と言いましたが、会話の中でこのような「共感」を得られるような話の進め方が上手です。
だから女性同士の会話はギスギスした感じが少ないんですね。
ただの理想ではあるのですが、かなりいい感じの会話になっていると思っています。
まとめ
解説が少々難しく感じる人は、「相手あってこその会話だ」「相手がいなければ会話にはならない」ということを頭において考えると、これまでの意識がガラっと変わりますよ。