津波がこれからくることが分かったらどうすればいいか?
また津波に対しての日々の備えにはどんなものがあるか?
いざというときのためにしっかりと学んでおきましょう。
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津波がきたらどうするか?
ここでは例えば携帯の防災アプリや防災行政無線などで「これから津波がくると分かっている」という状況で、どうすればいいかを解説します。
まずは、高いところへ逃げてください。
「ひとくちに高いところと言っても・・・どこ?」と疑問を持つ人もいらっしゃるかと思うので、具体的な津波避難場所とおおよその優先順位をつけて解説していきます。
津波避難場所が複数あるときのおおよその優先順位は以下のとおりです。
- 津波避難タワー・津波避難ビル
- 商業施設などに設置してある大型立体駐車場
- 山や小高い丘
- 津波避難場所に指定されている場所
- 鉄筋コンクリートなどでできた頑丈な建物
- 海や川と反対の方向
これはそれぞれの津波避難場所までの距離が同じくらいと想定した場合です。
条件が同じ場合は、より高い場所、より頑丈な建物を目指すことになります。
津波避難タワー(ビル)
こちらは津波避難のためのタワーやビルなので、まずそこをひとつのポイントとして逃げてください。
津波に特化したタワーですので、頑丈な骨組みと、そのエリアで想定される津波の最大高さに充分な高さがあります。
また、外壁はないと思いますが、これは津波のあおりを受けたときに水の抵抗を少しでも後ろへ逃がして、タワーやビルの倒壊や流出を防ぐためです。
大型立体駐車場
次に、商業施設などに設置してある大型立体駐車場です。
もちろん元々津波の防災対策で造られたものではないのですが、近くに目ぼしい津波避難場所がない場合には、それと同程度の効果が期待できます。
外壁がないということはないですが、基本的にオープンになっている部分があり、高層になっている場合が多く、構造上津波タワーとあまり差異がありません。
ただ、避難時に自分の自動車で向かうとなると設備内やその外周で渋滞が起こり、身動きが取れなくなる場合もあると思うので注意してください。
とはいえ、東日本大震災においても津波で多くの建造物などが流されてしまった中、大型立体駐車場だけは残っていたという話もあり、高さ・頑丈さともに充分であるとうかがえます。
山・小高い丘
続いてですが、山や小高い丘としました。
というのも、山や小高い丘というのはそもそも斜面の上に成り立っており、津波が陸地を駆けあがってくる際にも有効な避難場所だと言えます。
津波というのは海の中だけにとどまらず、勢いそのままに陸地にまで侵入し、駆けあがります。(これを遡上【そじょう】と言います)
駆け上がる津波は平地ではあまりスピードが落ちず、仮に海と反対方向に走って逃げたとしても追いつかれます。
逆に、遠くではないとしても、近くに充分な高さがある山や丘があれば津波が駆け上がる勢いを弱める結果となり、斜面を登って高いところへと逃げれば助かる率は大きく上がるのです。
津波から逃げるとき、遠くではなく高いところへと言われているのはそのためです。
充分とは言えませんが、平地と違い斜面になっているぶん、坂を登った先というのも津波の勢いを弱められるでしょう。元いた場所よりは高いでしょうから。
指定の津波避難場所
津波災害時は、指定された津波避難場所も避難に適した場所であると言えます。
市区町村で決められた津波避難場所というのがあり、津波避難場所に指定されている場所には以下の標識があります。(下図左が津波避難場所の標識、中央が津波避難ビルの標識)
ただ注意してほしいのですが、こういった避難場所というのは地震・津波・土砂崩れ・洪水など各災害の総合的な一時避難場所の場合もあります。
(下図参照。上段左の標識は各災害の総合的な避難場所。災害を表したアイコンでどの災害に対応しているかが分かる。災害アイコンは左から順に洪水/氾濫・津波/高潮・がけ崩れ/地すべり・大規模な火事)
例えば、上図下段左の標識なら洪水/氾濫・津波/高潮・がけ崩れ/地すべりの災害時の避難場所で津波避難に対応しています。
しかし、上図下段右の標識だと洪水/氾濫・がけ崩れ/地すべり・その他の災害時のみの避難場所で津波避難には対応していません。
さらに、上図上段中央の標識は避難所を表しており、災害での緊急避難場所ではありません。
避難所とは、被災した人が避難生活を送るために使用する場所のことでまぎらわしいのですが、「避難場所と避難所は違う」ということを憶えておいてください。
例えば、津波から逃げるのに避難所に向かっても、そこは避難生活を送るところであって津波避難場所ではないので、建物がある場所の高さや頑丈さが津波避難には充分ではない可能性があります。
上図上段右の標識は避難所と避難場所の機能を兼ねています。
ただ、津波避難場所はゴールではありません。猶予がある場合にはさらに高台を目指して避難してください。
津波は地震と同じで予想をするのが難しく、最悪の想定を上回ることもあるからです。
頑丈な建物
続いては、鉄筋コンクリートの頑丈な建物です。
これまで挙げたような避難場所へは時間がかかるという場合、建物の頑丈さを重視してそこに避難する必要も出てきます。
東日本大震災で津波の被災があったエリアでも、木造家屋が流されてしまう中、鉄筋コンクリート製の自社建造物の一番上に避難し、一命をとりとめた人もいます。
大きな津波が考えられる場合、3階建て以上といったシビアな面もあるかと思いますが、そのときの状況をよく加味して最適な選択をしてください。
川や海と反対方向へ
これは最終手段に近い選択ですが、高いところも頑丈な建物もなかったり、あっても遠くだったりする場合、とにかく水から離れるしかありません。
「海」としなかったのは、津波は海を経由して川をも駆けあがることがあるからです。
また、渋滞を引き起こし自分も周りの人も身動きが取れなくなるので自動車の使用は控えるようにと解説しましたが、ケースによっては使わざるを得ない状況もあるかもしれません。
分かりやすいように優先順位はつけましたが、状況や環境によって変わることもあるということです。
自分の命を守るための最善の選択をお願いします。
警報解除まで待つ
避難の必要があるということは、大津波警報や津波警報が発令されている場合がほとんどでしょうが、この警報が解除されるまでは絶対に元の場所には戻らないでください。
津波は一回では終わりません。そりゃそうです。人では作り出せない巨大な波がいくつも重なっているのです。繰り返してやってきます。
あるいは、警報発令中、津波がきていなくても戻らないでください。地震後すぐに津波がくるとは限りません。
例えば東日本大震災では、一度津波がきて落ち着いたので家に戻ったときに次の津波がきたケースや、警報発令による避難中に忘れ物に気づいて家に戻ったときに津波がきたケースなどありました。
大津波警報や津波警報が発令しているということは、すなわち、命をおびやかす事態になっているとお考えください。
その津波被害に遭ったとき、大規模な災害が見込まれるからこそ、発令しているのです。
大切なのは、警報発令でしっかりと避難をし、解除までは後戻りをしない。
どうぞ、命を守る行動をとってください。
また、震源が沖ではなかった場合、津波到達までの時間が早い可能性があります。
ですから、地震発生時、海や川の近くにいた場合は、警報発令を待たずに自主的に避難を開始してください。
特に、揺れている時間が長い場合(目安として1分以上)、津波発生の可能性があります。
また、押し寄せる津波のうち、第一波が最大とは限りません。それ以降の津波が最大となった例もあります。
とにかく、身の危険を感じたらすぐに避難開始、そして警報解除まで元の場所に戻らないということを忘れないでください。
注意報・予報の場合
では、発令されたのが「津波注意報」だった場合、どうでしょうか?
注意報の場合は、津波が陸地の内部に押し寄せる可能性も低く、人的被害も少ないとされています。
ゆえに注意報では「警戒する」くらいの目安でいいのですが、海域ではまだ津波が起きている可能性が高いのです。
様子見など、自分から海や川に近づくようなことは避けてください。
また、別記事でも触れましたが、「津波予報」というのは津波情報において「若干の海面変動が見られる」と表現されるもので、目安は「海の中に入っていなければ大丈夫」ということになります。
↓別記事はこちら↓
これはなぜかというと、「若干の海面変動が見られる」つまり「海の中に小さな渦や動きが確認できる」ので、海の中には入らないようにするということです。
第一報から予報であった場合は心配はそれほどありませんが、警報から注意報、そして注意報から予報に切り替わっている情報の場合、ただの予報よりも警戒が必要です。
今すぐできる津波への減災防災
ハザードマップの確認
あなたのお住いの市区町村と津波ハザードマップというワードで検索すると、近隣に津波がきた場合、どのくらいの範囲に及び、どの深さまで浸水するかなどが確認できるマップがあります。
近くの避難場所や避難所がどこにいくつくらいあるか、標高はどのくらいかなども確認可能です。
このハザードマップを使って、あらかじめ準備しておいてほしいことがあります。
津波からの被害を減らすためのものですので、積極的に取り組んでみてください。
それでは、津波ハザードマップで確認しておきたいことを具体的に解説していきます。
ポイント
- 避難場所と避難所
- どのエリアまで浸水するか
- 標高ライン
- 避難ルート
避難場所と避難所
津波想定の場合、津波避難場所の確認がまずは求められます。
津波避難場所は、津波襲来に備えて一時的に避難する緊急避難場所のことであり、小学校や中学校など公的な施設である場合が多いです。
自分がそのときにいる場所からより近く、より高い頑丈な建物を目指すのが基本となります。
一方、避難所とは避難生活を送る場所のことで、自宅が被災したなどで居住地がない場合、生活をする場所です。
日頃から確認しておきましょう。
どのエリアまで浸水するか
ハザードマップには、みなさんがよく見かける地図上に色分けされたエリアがあると思いますが、こちらは想定される浸水の深さによって分けられています。
例えば、ご自身の住む家、また職場の浸水エリアなどを調べておきましょう。
色分けがされていないエリアは浸水がないとされる箇所です。
基本的にはご自身の居住区が浸水するかどうか、浸水の可能性があれば浸水していないエリアがどのあたりで、どのくらい移動すればいいのかなどを確認しておくといいでしょう。
標高ライン
「標高」あるいは「海抜」と表現されているかと思いますが、例えば「海抜20m」であれば、「海面からその地点までの高低差が20m」ということになります。
この値が高いほうがより高台であり、より津波の浸水がされにくいということです。
道端に標識などで表示されている場合もあるので探してみてもいいかもしれません。
ただ、海抜が高いからと言って津波がそこまで到達しないという意味ではないし、安全を保証するものではありません。
地震もそうですが、実際の津波は想定どおりになど起きてくれませんので、最悪を考えた最善策が重要です。
避難ルート
ここまでで集めた情報を元に、実際にどんなルートどりをしてどこに向かうかをイメージします。
まさかの事態に備えて、ルートは複数用意しておくと安心です。
ただ、想定範囲をも超えてくるのが自然災害です。
イメージは大切ですし、もちろんそれを基に動きますが、できるかぎり「より高く頑丈な建物」を目指して避難し続けてください。
可能なかぎり時間のかぎり、さらに先の「より高く頑丈な建物」を目指して避難し続けてください。
防災アプリの活用
津波警報などの速報やその後の情報はテレビや防災行政無線でも入手できますが、自分の一番近くにあるケータイなどのデバイスからが確実だと思います。
docomo・au・ソフトバンクなどの各キャリアでの防災アプリ・メールもありますし、ストアから入手できるYahoo防災速報などもありますね。
お好みのものを活用して津波警報などの速報をいち早くつかみ減災に努め、その後の正確な情報を元に防災行動をとりましょう。
防災グッズの常備
このような津波をはじめとする自然災害はふいにやってきます。
いつ電気・ガス・水道・交通などのネットワークが寸断されるともかぎりません。
そんなときのために防災グッズの準備は欠かせません。
下記に私が信頼する防災グッズメーカーの防災リュックについてまとめましたので、ぜひご活用ください。↓