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地震はどうやって起こる?【防災減災につなげる知識と備え】

2024-05-04

近年、大きな地震が頻発する傾向にあり、いろいろと不安な気持ちになったりもしますが、「地震とは何か?」を知ることで、自分自身の命を守る行動「防災減災」につなげられたらと思います。早速見ていきましょう。

地震はどうやって起こるのか?

まず簡単に結論を申し上げておくと、地震とは「地球の地表の下にある『プレート』と呼ばれる巨大な岩盤がズレ動いた振動」によって起こります。

言葉だけだと分かりにくいので、イラストをまじえながら解説します。下図をごらんください。

気象庁ホームページより引用

地震には上の段のイラストのような陸地で起こる地震(内陸型)と、下の段のイラストのような海で起こる地震(海溝型)があります。日本で起こる地震は大まかに分類するとこのふたつの種類になります。

陸地で起こる地震

地球の中ではマントルというものが動いていて、その上に載るプレート(巨大な岩盤)という表層部分を少しずつですが動かし続けています。

ただ、そのプレートはツルツルな表面を動いているわけでもないですし、巨大な岩盤ですので非常に重い。

当然プレートが動くときには大きな負荷がかかります。イラストの例ですと外側から内側に押される力が大きくかかり続けます。

プレートがその負荷にたえきれなくなったとき、ヒビが入り、壊れ、岩盤は上下方向に大きくズレ動きます。

そして大きくズレ動いた振動が地表まで伝わって、私たちが体で感じる地震として現われるのです。

また、地表近くでの地震のために直接的な縦揺れの場合が多くなりやすく、震源近くほどドンという体感になりやすいです。

陸で起こる地震の例は、兵庫県南部地震(阪神淡路大震災)・熊本地震などがあります。

海で起こる地震

プレートには陸のプレートと海のプレートがあり、この海の地震は陸・海プレート同士がぶつかりあうときに起きます。

下図をごらんください。

気象庁ホームページより引用

日本列島にはよっつのプレートが関係していて、海で起こる地震のパターンとしては、太平洋側にある海のプレートが日本海側にある陸のプレートを押し、境界で沈み込みます

関東から北では太平洋プレートが北米プレートを押し、関東から西ではフィリピン海プレートがユーラシアプレートを押しています。

陸で起きる地震同様、マントルの力によってプレートは少しずつですが動き続けている状態。

海のプレートのほうが重いので、ぶつかりあったところで海のプレートは沈みこみ、陸のプレートはその沈みこみに引っ張られるように沈みます。

このとき、陸のプレートと海のプレートの重なり合うところには大きな負荷がかかるんです。

そう、その負荷にプレートがたえきれなくなったとき、ヒビが入り、壊れ、岩盤は上下方向に大きくズレ動きます。

そして陸のプレートが元の位置に戻ろうと跳ね上がり、大きくズレ動いた振動が地表まで伝わって、私たちが体で感じる地震として現われるのです。

陸の地震よりも深い部分で起きるため、直接的ではないユラユラした横揺れになりやすく、振動がより遠くまで伝わりやすいです。

また、フィリピン海プレートがユーラシアプレートを押す距離は3~5cmなのに対し、太平洋プレートが北米プレートを押す動きは年間で8cm。

このため、東北寄りの陸海プレートのほうが負荷がかかりやすくなり、西日本の海で起こる地震よりも頻度が高め(地震周期が短め)です。

海で起こる地震の例は、東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)・十勝沖地震などがあります。

ポイント

  • 内陸型地震は陸のプレートのズレが原因 ドンという縦揺れ多い 震源の揺れが大きい
  • 海溝型地震は陸と海のプレートのズレが原因 ユラユラした横揺れ多い 揺れが遠くまで伝わりやすい

地震で陸地が動く量

では実際起きた地震で、どれだけ陸地が動いたのかを見ていきましょう。

下図をご覧ください。

国土地理院ホームページより引用

「海のプレートが陸のプレートを押している」というのを視覚的に分かりやすく表した「地殻変動量」というものがあります。

矢印の向きが押している方向、長さが動いた距離を表します

人間が肉眼で見ても年間数cmの陸地の動きなど確認できませんが、測定器を使って測った結果を見るとハッキリと分かりますよね。

それでは続いて下図をごらんください。

国土地理院ホームページより引用

今度は矢印の方向が全くの逆、しかも動いている量が非常に大きいです。

実はこちらの図は、東北地方太平洋沖地震発生後数日までの変動量を表したものなのですが、どのように感じましたか?

海で起こる地震の解説で、海のプレートが陸のプレートを押し続けている負荷がたまり続け、限界に達すると跳ね返るというお話をしました。

最初にご覧になった図のように、海のプレートが陸のプレートを押す力というのは少しずつではあるものの絶えず同じ方向にかかり続けており、その間私たちに分かる形では表れません。

しかし、かかりすぎた莫大な負荷が解放され、ひとたびプレートの破壊が起きれば、その跳ね返る力は私たちの想像をはるかに超えるものになり、巨大な地震を引き起こします。

太平洋側の赤い星印は震源ですが、巨大な地震が起きたことで負荷は解放され、動いた陸地が元に戻ったのです。

押す力とはまったく逆方向に、しかもとても大きな動き方をしていることを見ても、この地震がどれだけ大きなものであったか確認することができます。

さきほど申し上げたとおり、東北地方太平洋側の推す力(陸地が動く量)は他のところに比べて大きいです。

では、お分かりかと思いますが、他のところは安全か、地震は起きないのかと言えばそれはNOです。

マントルは地球のどの地点にも存在し、方向や動く量は違くても陸地が「絶えず動き続けている」ことに変わりはありません

プレートとプレートの間に負荷がかかっている以上、解放される可能性はどこでもあるのです。

(正確には動いているのは陸地だけではないのですが、分かりやすくするために表現を変えています)

オマケ これは内陸型?海溝型?

突然ですが、ここで問題です。

日本で起きた次の地震は内陸型でしょうか?海溝型でしょうか?

  • 令和6年能登半島地震
  • 大正関東地震(関東大震災)

正解は、令和6年能登半島地震は内陸型地震、大正関東地震は海溝型地震です。

分かりやすくするために私は冒頭の解説で、内陸型地震を「陸地で起きる地震」、海溝型地震を「海で起きる地震」と表現しました。

多くの場合は内陸型地震の震源は陸地だし、海溝型地震の震源は海なので、考え方は大体それでOKなのですが。

実はこのふたつの地震は例外的な部分があるので、その判断基準では間違えてしまうんです。

もっと分かりやすい判断基準は「海溝(もしくは海溝付近)」で起きたかどうか?です。

つまり、突き詰めて言うと、「海のプレートが絡んだ地震かどうか?」

令和6年能登半島地震は陸のプレート(活断層)のズレが原因なので内陸型、大正関東地震は相模トラフという浅めの海溝で起きた(つまり海のプレート絡みの)原因なので海溝型となるわけです。

令和6年能登半島地震の震源は半島のギリギリ陸地。なんですが、この震源の断層は東の佐渡の海域の方向へ長く続くものだったこともあってか、内陸活断層型地震でありながら津波被害まで起きました。

大正関東地震の震源はパッと見ると内陸と思われがちなんですが深さがわりとあって、プレート表面よりも深い場所、「相模トラフ」という海溝よりも少し浅くできあがった部分で起きています。(深さまで見たこの震源の位置を「震央」といいます)

ここは陸のプレート(北米プレート)と海のプレート(フィリピン海プレート)の境目であり、海のプレートが絡むものなので海溝型の地震です。(下図関東地方から太平洋側に伸びる部分)

気象庁ホームページより引用

大正関東地震では火災被害が目立ちますが、実は静岡や神奈川、千葉の太平洋沿岸では甚大な津波被害も生じています。

ですから、地震のタイプに関わらず、海域や河川近くに住む人は大きい揺れを感じたらすぐに高台や避難場所、津波避難タワーに逃げることを考えておかなければなりません。

いざというときのために自分の住む地域にどのくらいの危険があるか、逃げるならどのルートでどこに逃げるかをシミュレーションしておきましょう。

ポイント

  • 海や川付近に住んでいる場合、大きな揺れを感じたら、身の安全を保ちながら高台などへ逃げる

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