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ヒューマンエラーの事例から学ぶ知識と対策を分かりやすく解説

2020-09-07

shallow focus photo of high voltage signage

「うっかりやっちゃったよ!」「あ、いけない、忘れてた!」なんていうミス、みなさん経験があるのではないでしょうか?

こういうミスはプライベートでも仕事でよくある話だと思います。

「もうしょうがないな~」で済めばいいのですが、大ケガや命に関わるものの話というのはプライベートよりも仕事中に多くひそんでいるもの。

やっぱり減らせるのであれば減らしていきたいですよね?

そこで今回は「うっかりミスを減らしていきたい」「でもなにが原因なの?」「なにかいい対策はないの?」という疑問に、現在製造業にたずさわる私が分かりやすく解説していきたいと思います。

ここを押さえておけばうっかりミスを低減させることになり、安全性を向上させることができます。

ヒューマンエラーってなに?

タイトルに大々的にかかげながらまだ触れていない「ヒューマンエラー」というものがなんなのか、まずはここから解説していきます。

かなり簡略化して言います。

「仕事において事故やケガにつながるような人間のミス・間違い」これをヒューマンエラーと呼びます。

仕事においてと言いましたが、人間のミスや間違いが事故やケガ(労働災害)につながるような職種。

つまり仕事中にそれなりの大型機械や危険な道具を使うようなもの、例えば製造業や建設業などが分かりやすいところでしょうか。

いわゆる「安全第一」をかかげるような職種です。

うっかりミスはなぜ起こるのか?

これは仕事をしているのが人間だからです。人間はミスをする生き物です。ミスをせずに一生を終える人はおそらくいないでしょう。

仕事内容がさきほどのような大型機械や危険な道具を伴うものであれば事故やケガの可能性は大きくなります。それを扱うのがミスをする人間だからです。

そして人間であるがゆえにその可能性を低くすることはできてもゼロにすることができません。

製造業などでもロボットに仕事をまかせるなどのAI化は進んでいますが、これがその理由のひとつでもあります。

事故やケガを最小限にとどめるための方法

前述したとおり、注意や心がけをしっかりとしていても人間のミスをゼロにできないという歴史的統計学的な事実があります。

他の部分でも対策をし、最小限にする努力をしていかなければなりません。

その方法として有名なのがヒヤリハットです。

製造業に就いたことがある人は一度は耳にし、また実際ヒヤリハットを提出した人も結構いらっしゃるかと思います。

文字通り自分の作業中に「ヒヤリ」としたこと、「ハット」したこと(つまり災害には至っていないが、一歩間違えば大きな災害につながっていた可能性のある実際の事例)を抽出していくのです。

しかしなぜこんな面倒なことをあえてしているのでしょう?

ヒヤリハットと深く関係しているものに「ハインリッヒの法則」というものがあります。

これはアメリカの保険会社に勤めていたハインリッヒという人が実際に調査したデータに基づいて導き出した法則。

人間が起こした類似災害330件の内訳は300件が無傷(ヒヤリハット事例にあたるもの)、29件が軽い障害、1件が重い障害になっているというものです。

つまり「1件の重大災害の裏には29件の軽い障害があり、300件のヒヤリハットがある」という解釈です。

重大災害をなくすためにはその一番最初の段階である無傷の災害(ヒヤリハット事例)の可能性をひとつひとつつぶしていくことが最重要という考え方。

最小単位のヒヤリハット事例が起きないような対策ができれば重大災害は起こりえないという結論に至る法則です。

ヒヤリハット提出は、多数のヒヤリハットの再発を防ぐことで重大災害の根絶を理想とする方法を実現させるのに必要な要素ということになります。

ヒヤリハット事例をなくすために必要なもの

これも製造業に就いている人はご存知かもしれませんが、「危険予知訓練」というものがあります。

簡単に説明すると、イラストや写真の中にヒヤリハットの事例になるような要素をちりばめられたものがあり、そこからみんなでヒヤリハット事例を抽出します。

これにより職場や設備にひそむ危険を察知する感度をあげていき、実際の作業に活かすことでヒヤリハットをなくす=重大災害の要因を取り除くことが可能とされています。

例えば高所作業のイラストがあり、そこに安全帯(ハーネス)をつけていない、ヘルメットをかぶっていない、近くにある設備を踏み台代わりにしているというような不安全行動をする作業者がいて、そこから危険だなと感じる箇所を見つけ出し、最終的にはその対策も考えます。

これが習慣づけば高所作業するときになにをしたらいけないのか、なにをするべきなのかが無意識で働くようになります。

また、他作業者が不安全行動をしているときにもいち早く気づき、注意することができるようになるのです。

このヒヤリハットや危険予知というのは自分自身のイメージトレーニングでも強化・習慣化することができますので、試してみてください。

ヒヤリや危険予知で補えない部分はどうするか?

危険予知訓練は訓練ですから、よく考えてから答えを導き出していますよね。

実際の作業中にあわてることなくとっさに頭に浮かぶのか、それをおこなうことができるのかどうかはやっぱり未知数なわけです。

だとすれば人間がヒューマンエラーを起こす可能性が一番低い状態のときに行動するしかないと私は思っています。

こんな状態のときはどうですか?

  • あ!高積みしてあった大きな材料が崩れる!→崩れる前に支えなきゃ!
  • あ!設備の中にペンを落としちゃった!→早く拾わなきゃ!
  • あ!休憩時間もう過ぎちゃってる!→走って作業に戻ろう!

・・・ケガします!やめてください!!!

これってそのときに危険を危険と感じ取れないから「思わず~する」になっています。

こんな状態のときはどうですか?

  • あ!高積みしてあった大きな材料が崩れる!→逃げよう!
  • あ!設備の中にペンを落としちゃった!→設備をとめよう!
  • あ!休憩時間もう過ぎちゃってる!→落ち着いて移動しよう!

このように一呼吸おいて頭を冷静にして考えてから行動がベストなのです。

まあ、これができないから「思わず~する」になってるんですよね・・・。

ではでは、間にこんなものをはさんで一呼吸おいてみましょうか。

  • あ!高積みしてあった大きな材料が崩れる!→危ない!自分に当たるかもしれない!→逃げよう!
  • あ!設備の中にペンを落としちゃった!→危ない!設備稼働中に手を出しちゃダメだ!→設備をとめよう!
  • あ!休憩時間もう過ぎちゃってる!→危ない!あわてて移動するとケガするかもしれない!→落ち着いて移動しよう!

なんか奥の手みたいな感じになりますが、安全第一ですからまずどの場面でも「常に危険がひそんでいる」と思い込みましょう。

行動する前に「危ない!」と考えられる余裕だけ作ってください。こわがりでいてください。

その余裕が結果的に一呼吸をおくことになり、ヒューマンエラーを起こす可能性が一番低い状態を作り出していることになります。

まとめ

私は基本オッチョコチョイなので仕事で手や指に程度の軽いケガはたまにするのですが、今のところさいわいに大ケガは経験していません。

オッチョコチョイであろうとも、私のように怖がりであれば危険からは自然と回避する行動に出ることができます。

「ケガこわい!」「痛いのこわい!」「設備こわい!」

こういう気持ちをもつことが、安全に仕事をする一番手っ取り早い方法なのかもしれません。

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実はそれヒューマンエラーです!ありがちな行動に潜む危険とは?

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