会社などで上司が部下を呼び捨てにするという場面はいまだ多くあると思います。
部下の側からすればあまり気持ちのいいものではないでしょうが、やはり自分の上司ということもあり、なかなか打ち明けにくい状況なのは確かでしょう。
そんな部下の思いに気づいていない上司の方たち。残念ながら部下を呼び捨てしている上司は損ばかりしています。今その意識を改めておけば部下とも良好な関係を築け、円滑に職場を回すことができますよ。
今回はそんなお話をしていこうと思います。
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呼び捨ては百害あって一利なし
上司が部下を呼び捨てにする理由で思い当たるものを3つ挙げてみます。
- マウントを取る(自分に権威性を持たせる)
- 家族のような親近感を持たせる
- 自分のほうが年上(職歴が長い・経験もたくさん積んでいる)
正直、現代の人たちにこれはまったく響かないです。職場の人間関係でのポジショニングというものをあまり重視していないからです。あくまで仕事上の関係なだけであって、それ以上のものは望んでいない人が大半です。思っているよりもドライといえば分かりやすいでしょうか。
これからこの3つの理由をひとつずつピックアップして、なにがいけないのか、また改善するにはどうしたらいいのかの提案、そこまで深掘りしていきます。
マウントを取る(自分に権威性を持たせる)
これ、そもそも役職として上司のほうが上なのは分かりきっていることなので、そこであえてマウントを取りにいく必要がありません。
「ナメられたら困る」とか、そういう理由でそうしているなら逆効果です。
「立場が上なんだから偉そうにして当然だろ」とか、そういう理由でそうしているなら、先述したとおり職場の人間関係でのポジショニングというものをあまり重視していないので響きません。嫌悪感が増すだけです。
部下は上司が役職上自分よりも上の立場なのは分かっています。
しかし人間的にも上なのか、つまり尊敬できる存在なのかはまた別問題ですし、それは部下が決めることです。上司が押しつけて無理やりそうさせるものではありません。
人間的にも優れた人だと思われたいのであれば、まずその傲慢な態度を軟化させなければなりません。
家族のような親近感を持たせる
上司の中には、悪気なんかなく本当にアットホームな雰囲気を出したい、そういう間柄になりたいと思って呼び捨てにする人もいるでしょうが、これも逆効果です。
先述どおり、そもそもそういう間柄になろうと思っていません。ドライに対して熱心に情熱を注いでも届きません。
理由づけをして「だから呼び捨てにするけどよろしくね」と事前に説明しておけば少しは受け入れられるかもしれません。
しかしただの自分の自己満足でそうしても、部下からすれば「は?ただ仕事の上司だっていうだけでなんで呼び捨てにされてんの?」と思われてしまいます。
現代社会はことハラスメントにうるさいですから、「パワハラだ!」なんて思われるのが関の山です。
どうしても親近感を持たせたいというのなら、誤解されないような呼び方、例えばニックネームや愛称で呼んでみたりするのも手段のひとつかもしれません。
自分のほうが年上
こういうのが一番響かないかもしれません。現代の人は複数人の集団においてリーダーを立てるとか、序列をつけるといったことを好みません。
しかしながら「こいつはこのジャンルが強い、あいつはこのジャンルがいける」というような認識はできています。個性を尊重する・・・というよりは役割分担がしっかり認識できているといった感じです。
ですから誰が年上、誰が勤務が長い、誰が経験豊かとかは認識はできているのでそれだけで大丈夫です。
それを表面上に出して「俺のほうが年上なんだぞ!」と言ったら間違いなく「だからなに?」と思われてしまいます。
積み重ねたものやその長さを尺度にするのを避け、役割を重視していくとうまくいくでしょう。
現代人である部下と関係性をうまく作る方法
さて、ここまでのところで現代人の部下の特徴のポイントになるのは次のとおりです。
- トラブルはめんどくさいので平和主義でいたい
- 仕事の人間関係は比較的ドライ
- 中心人物の存在にあまり意義を感じていない
このままだと、上司が呼び捨てにするその思いとはうらはらに呼び捨てにされるそのたびに部下の心が離れていくという悲しい出来事が起きてしまいます。実際もう起きているかもしれません。
これを打開するには「フラットでいること」です。フラットな感情、フラットな関係、フラットな考え方・・・。
つまり、部下と向き合うそのときに、上司や部下の役職や年齢関係なく、ひとりの人間同士、ひとりの社会人同士のやりとりがなされる職場がベストだということです。
部下をひとりの人間としてとらえることができるかが大切になってきます。
そうすることが結果的に上司と部下の良好な関係を作り出すことになるのです。
どんな呼び方が最良なのか?
それでは締めくくりにいきましょうか。
私は冒頭で部下の名前を呼び捨てにするのは損になることしかないとかかげ、例として3つほど挙げてお話してきました。
ここで質問です。部下に対してどのような呼び方をするのが一番好ましいのでしょうか?
答えは「さん」づけです。
私はさきほどなにをするにもフラットがベストだと言いました。
相手がひとりの人間、ひとりの社会人だという認識を忘れてはいけないと。
ならば「さん」づけで呼びましょう。
しかし、人によって「くん」や「ちゃん」も使い分けて呼ぶ、などというのは最悪です。
こいつは年下だから「くん」、こいつは女の子だから「ちゃん」。
その考え方はフラットではありません。それどころかひとりの人間、ひとりの社会人としてもとらえられもていないです。上司が一番してはいけない特別扱いまで入っています。
これではここまで私はなにを語ってきたのか、悲しくなります。
もちろん全員さんづけです。例外なくさんづけです。
私は現在43才ですが、私自身も年上年下、性別、職歴、在籍年数関係なく「さん」づけで呼んでいます。
お互いに社会人です。学校の先輩後輩という関係なわけではありません。
だから私は相手が年下であっても、社会人としての最大限の敬意を払うという意味と、本人の自覚を促すという意味で徹頭徹尾「さん」づけで呼んでいます。
まとめ
前の世代の考え方で接してもうまくいかない社会になりました。
ならば私たち前の世代の人間が現代に合った方法で行動していくしかありません。
ですが今も昔も正面からぶつかっていけば必ず応えてくれる。それは変わっていないと思います。
臨機応変に、でも誇りをもって進んでいきましょう。