会社の上司というのはとりまとめるのが仕事の場合が多いので、部下に煙たがられる状況も結構多いと思います。
「でも実際なにが部下にとってイヤなことだろう?」
「直せるところがあれば直してうまく回したいんだけど」
「じかに聞いても正直には答えないだろうし」
そんな管理職にある上司のみなさんの大きすぎる悩みにお答えしていきます。
多くの事柄に通じる内容ですので、直接的な改善にも役立ちますし、間接的に応用しながら使うということもできます。
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多くの上司ができないある行為とは?
それは「待つ」です。
しかもいろいろな場面で「待つ」ができない上司が多いと思います。
いくつか例を挙げながら解説していきたいと思います。
できない3つの「待つ」
- 部下の作業完了を「待つ」
- 部下の自発的行動を「待つ」
- 部下の気づきを「待つ」
部下の作業完了を「待つ」
立場が上司ですから、なにかと教える場面が多いのは確かでしょうが、なんでもかんでも手を出し口を出しでは部下は育ちません。
なんでもかんでも手を出し口を出しは一番最初に仕事を覚える段階だけです。
そのときに緊張しながらも必死の思いで仕事を覚える努力をしていると思いますから、一度ですべては覚えられなくても、断片的にでも少しずつ覚えていることでしょう。
その状況で次はこう、次はああとひとつ仕事が終わるたびに教えていたのでは、「今ここ覚えるとこだったのに!」「そこはもう覚えたよ!」などと思われているかもしれません。
「分からないところがあったらまた聞いてね」と声かけだけしておきましょう。
ポイント:部下に仕事を教えるのが目的ではなく、覚えてもらうのが目的
部下の自発性を「待つ」
まあ新人とはいえ、分からないところがあればそれを解決するために質問してくるはずです。
分からないままでは仕事が進みませんからね。
ちょっとサポートしてほしそうな雰囲気を出していても、我慢して待ってみましょう。
もちろんこれは質問をしてくるまで教えるなとか、いじわるをしろ、ということではありません。
仕事を進める上でこの「自分からどうにかするという自発性」は必要なものになってきます。
支持を受けなければなにもできない受け身の状態ならそこは正していく必要があります。
質問には真摯な態度で答えますが、ときには質問に対して「あなたならどうする?」と自発性を促すのも効果的でしょう。
ポイント:部下に指示を出すのが仕事ではなく、自分で考えて行動できるようにするのが仕事
部下の気づきを「待つ」
経験を積み、ノウハウを覚えていく中で、自分なりに「あれ?これってもしかしてこういうこと?」とか「ここはこういう方法もあるかもしれない!」といった気づきがあることも増えてくると思います。
上司であるあなたはもうすでに気づけている内容だとしても「そんなことはできて当たり前だ」と責めるような発言は避けたいところです。
また、自分自身も気づけなかった事柄があるのであれば手放しで褒めてあげるのがあなたの務めです。
気づきやアイデアは否定的に扱わず、大きな心で待ち、積極的に受け入れてあげることが重要です。
ポイント:部下の気づきには責めて返すのではなく、褒めて受け入れてあげるのが務め
「待つ」ができない上司に本質的に欠けていること
これは結局、部下の成長を「待つ」ができないから、それ以外の細かい「待つ」もできないでいるわけです。
仕事だけができる人間を集めるだけでは会社運営はうまくいきません。
「人を育てることそのもの」も大事な要素です。
「即戦力」なんていう呼ばれ方もよく耳にしますが、本当の意味での優秀な社員は人間的にも優れた者であり、
インスタントのようにすぐにできあがるものではありません。
部下の成長を長い目で見る余裕があれば、さまざまな「待つ」に対して柔軟に対応していくことができます。
「待つ」=「見守る」
「待つ」という言葉があまりしっくりこないのであれば、「見守る」という言葉に置き換えてみてください。
手を差し伸べサポートするのも優しさなら、手を出さずにそっと見守るのも優しさだと思います。
そっと見守りながら、必要なところでは手を差し伸べてあげる。これが上手な「待つ」の方法です。
そして継承していく
そういった学びを受けた部下が、今度は自分が上司になったときにそのまた部下に教育をし、継承していくのです。
また、時代の流れによって改善が必要なところは改善していく柔軟さをも持った素晴らしい人材が育ちます。
いいことずくめで実行しない手はないじゃないですか。
まとめ
「人を育てること」には人と人とが正面から向き合う必要があります。
そのためには上司と部下という関係性を超越した人間同士のかかわりが必要です。
実際現場でそれを実行するのは難しいかもしれませんが、心構えとしてはそういった広い「待ち」の精神を忘れずに根気強く続けていきましょう。