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実はそれヒューマンエラーです!ありがちな行動に潜む危険とは?

2020-09-11

green and black machine close-up photography

製造業や建設業において、うっかりミスからつながる労働災害のことをヒューマンエラーと言います。

ところが、無意識下でおこなっている上にその悪影響がどういった形で表れているかが本人にも分からない非常にやっかいなケースというのがあります。

今回はヒューマンエラーと気づきにくい実は危険な行為、しかも安全の問題だけでは済まないケースというのをひとつ例に挙げていきます。

どんな影響があるのか、どうしていくことで防止することができるのか、製造業に就く身として解説していきます。

主に同業者には大切な概念になるかと思うので、共通認識として定着させればヒューマンエラーの防止に役立ちます。

伝達事項を作業者に伝える

「えっ?それ悪いことなの?」と思った方、大丈夫です。内容自体は大切なことで必要なことです。

ただしこれを作業中の作業者にするとなるとちょっと違ってきます。

「作業中の作業者に話しかける」

これがそのものズバリ、ヒューマンエラーにつながる行為です。

この行為でのヒューマンエラーのメカニズム

交通機関としてバスを利用される方も多いかと思いますので、こちらを例にしてお話しますね。

バスの運転手の近くにこんな注意書きがあるのを見つけた方はいらっしゃるでしょうか?

「運転中は運転士に話しかけないでください」

これがなぜかは分かると思います。

運転手に話しかけるということは、いろんなところに目をやり聞きながら、いろんな動作をしながら運転している運転手の注意が運転以外のところにいきます。

その結果、事故につながる可能性があるからです。

ですから例えばICカードのチャージひとつにしても、本来はタイミングをみて話しかけないといけません。

具体的には停車中(信号待ち、降車時など)が好ましいと思います。

製造業においてもおおまかにはこのことがあてはまるのですが、違う点というのもあります。

製造業でのヒューマンエラー

製造業での作業者というのはいくつかの工程をワンサイクルとした連続する作業の繰り返しをしていて、状況に合わせて運転する運転手とは少し勝手が違います。

例えば、その持ち場には工程が5つあるならば、その工程を順を追って繰り返すことをしています。

1→2→3→4→5→1→2・・・ 

このように、1~5をワンサイクルとし、ひとつのモノを作り出します。

イメージとしてはこんな感じです。

しかしこのワンサイクルを繰り返す単純作業というのが結構やっかいなのです。

安全上の問題

これはバスの例と同じです。

例えば作業工程で刃物を使ったり、大型機械を使ったりする工程があれば、そのタイミングで話しかけたときに危ないのは分かるかと思います。

あるいは声をかけられた方向に注意がいくので手元足元や周囲の状況から目線や注意がそれて、持っている道具や材料を落としたり他の作業者とぶつかったりという可能性もあります。

これは話を聞けば比較的分かりやすいところだと思います。

しかし製造業のヒューマンエラーの危険は安全だけにとどまりません。

品質上の問題

さきほど製造業はワンサイクルでの工程作業が主だというお話をしました。

ではさきほどと同じ5つの工程をワンサイクルとする作業で、こんな状況を想像してみてください。

上司から緊急性の高い伝達事項があって、工程3において作業者に話しかけました。

安全上での問題以外でどんな危険があるでしょうか?

正解は品質面です。

工程3ということは、ひとつのモノを作り出している最中ということになります。

ここで声をかけられて手をとめ話を聞きます。

作業を再開した作業者はこんなことを思います。

「アレ?どこまでやったんだっけ?」

するとこのサイクルで出来上がったモノにだけ、本来組みつけるはずの部品がないなどの品質の不具合が出てきます。

このまま誰も気づかずに客先に出荷されたらクレームになり、最悪今後の受注がすべてなくなります。

たった数分の連絡事項をはさんだためにひとつの不良品が客先に流れ、契約が打ち切られて会社に大きな損害が出る。

怖くないですか?

私が勤めていたところでも、客先には出なかったけれども辿ってみると不具合が出たのは話しかけたタイミングだったという事例が実際にありました。

これ以外にももちろん生産性が下がるという結果にもつながることはお分かりいただけるでしょう。

つまり緊急の伝達事項を伝えるというひとつの行為が安全・品質・生産性すべての面においての不具合を出す結果となりうるというおそろしい一面をかかえているのです。

「だから話しかけるのはやめてね」とはいきません。どうしても話さなければいけないケースもあるのが現状です。

ではどうすればいいのか?

そうです、話しかけるタイミングです。

話しかけるタイミングはいつがいい?

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いくら緊急性がある伝達事項でも、すぐ伝えたいという一心でやみくもにおこなってしまえばマイナス要因しか導き出しません。

ですからこれを肝に銘じて、ワンサイクルの区切りをみて話しかけることが重要になってきます。

つまり話しかける側は、ひとつのモノが出来上がった工程5の後のタイミング、次のモノを作る工程1を始める前のタイミングを見計らっていかなければなりません。

このタイミングであれば作業者や他作業者がケガをすることもなく、作り出すモノの品質を下げることもないのです。

他作業者と交代してもらいその間に伝えてもいいのですが、作業者の入れ替わり時も抜け漏れの要因が同様にあります。

交代するのであれば引き継ぎをしっかりとして安全品質に影響が出ない形をとる必要があります。

ということで、話しかけるタイミングとしては休憩時などの作業時間外がもっとも好ましいと言えるのではないでしょうか。

作業者側が話しかけられるタイミングを選ぶことも重要

ここまで話しかける側に焦点をおいて進めてきましたが、作業者側としてはするべきことはないのでしょうか?

これ、実はあるんです。

話しかけるタイミングはいつが好ましいのかがもう分かっているのですから、作業者側でそのタイミングをコントロールすることも重要な方法になってきます。

作業時間外はいいとしても、作業中にどうしても話を聞く必要がある場合はタイミングが明確です。

そうです。ワンサイクルが終わった後に聞くようにすればいいのです。話しかけるときと同じタイミングです。

お互いの共通認識としておけば、うっかりだったとしてもある程度は歯止めが効きます。

無論ムダなおしゃべりが招く不具合もある

私の勤め先にこういう男性がいます。

「仕事中にしゃべりながらいろいろ作業してる」

まあ、分かりますよ。自分は複数のことが同時にできる、器用なんだよという男の小さな小さな自慢です。

しかしもうお気づきでしょうが。

この「しゃべりながら」というのは、話しかけられて注意力が散漫になっている運転手と同じ状態ですね。

誰かと話しながら仕事をするということは「相手の話を聞いて」「自分がそれに応えて」「仕事もする」ということです。

申し訳ないですが、どれだけ自分が気をつけていようと作業以外のことに気がいっていることに違いはありません。

この状況で起きやすいのは?

そうです。ヒューマンエラーです。

むしろ意識的に話しているのだからヒューマンエラーですらないかもしれません。

まとめ

意識づけとしては、「作業中の作業者には話しかけるな」このくらいでいいと思います。

話しかけるべきではない理由

  • 話しかけた相手に作業者の注意が向いて、集中力がなくなりケガを誘発する→安全性低下
  • 工程飛びが発生し、品質不具合を誘発する→品質低下
  • それにより原因や再発防止案を探るため大きな生産ストップを余儀なくされて生産性が激減する→生産性低下

結果→悪いことだらけ。いいことがなにもない!につながります。

私もおしゃべりは好きなほうですが、仕事中はできるだけなにもしゃべらずにいたいという気持ちは以前からもっていました。

メリハリを利かせるのは大事なことです。まずはそんな簡単な意識づけから始めましょう。

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