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【製造業にありがち】品質と生産性の両立が難しい理由と改善方法

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製造業において「安全・品質・生産性」はとなり合わせの関係になっていて、みっつともが満たされた生産状況がベストとされています。

ところが実際問題、このみっつをすべて成立させながら工場を稼働させることは結構難しいことですね。

例えば品質を重視すれば他のものが手薄になり、バランスをとることができなくなります。

中でも品質と生産性の両立は頭を悩ませるところです。

今回はこの品質と生産性に的を絞って、なぜバランスよく両方をさせるのが難しいのか、またどうすれば解決することができる課題なのかを解説していきます。

この記事を読んで、品質・生産性の両立を実現可能なものにしましょう。

品質・生産性の両立が難しい理由

これは時間軸で考えたとき、品質と生産性が常に連動しているからです。解説していきます。

例えば自分の受け持ちが検査工程だとして、ひとつの見落としもなく不具合や不良を拾うためにはどうしたらいいでしょうか?

そうです。じっくり時間をかけて検査すればいいことです。

それでは時間当たりの生産数を上げたいとき、どうしたらいいでしょう?

はい、ひとつの検査品に対してかける時間を短くすることです。

もうお分かりの方もいるかと思いますが、通常、品質の精度を上げようとすればするほど、ひとつの検査品にかける時間は長くなります。

そして生産性を上げようとすればするほど、ひとつの検査品にかける時間を短くしなければなりません。

つまり、品質を重視すれば生産性は下がり、生産性を重視すれば品質は下がります。

バランスを保ち品質生産性向上

そこで、品質と生産性を両立させるために、バランスのいいところでキープしながら生産するのが基本になってきます。

このとき大事になってくるのは「サイクルタイム」です。

サイクルタイムとは、ひとつの製品を作るのに必要な時間のことです。

流れ作業(コンベア作業)の場合

食品加工や部品製造などの流れ作業では多くの場所でコンベアが用いられています。

コンベアは常に一定のスピードで動いていますので、それに間に合うように作業をすれば大丈夫です。

ただ、コンベアの流れ作業では注意すべき点がふたつほどあります。

ひとつめは、コンベアスピード以上の速さで作業をこなす必要がない点。

コンベアスピードは作業内容や効率を考えられて設定されているので、そのスピードで作業し続けてさえいれば、品質・生産性をクリアしながら一日のノルマをこなせるようになっています。

あおられるのがイヤだからとあまり先行しようとしすぎると安全や品質に抜けが出てきますので、必要以上の作業スピードは必要ありません。

『使える時間は目いっぱい使って、ひとつひとつの品質を確認する』

コンベア作業では品質と生産性を両立させる重要なカギになってきますので憶えておいてください。

ふたつめは、作業標準書やコンベアスピードの設定自体がおかしい可能性も頭に置く必要がある点。

作業標準書やコンベアスピード自体が間違っていたとすると、どれだけそのスピードに合わせていても意味がありません。

例えば慣れた作業者が間に合わないくらいのコンベアスピードだったり、逆に遅すぎたりしたとき。

この場合、作業内容そのものやコンベアスピードが適切でない場合もあるので、おかしいなと思ったら上長にかけあって再検討してもらわなければなりません。

適切な設定があってこその作業だということです。

流れ作業でない場合

コンベアの流れに合わせればサイクルタイムが自然と分かる流れ作業に対して、それ以外の作業パターンではサイクルタイムをどう設定すればいいのかが分かりません。

慣れてくればこのくらいだという体感の目安ができあがるので「今遅れてた」とか分かるのですが、慣れるまでの時間がかかる人や感覚で計るのが苦手という人は困ってしまいます。

そこで流れ作業以上に大事になってくるのが「ムダをはぶく」「ムダなことはしない」ということです。

ムダをなくすポイントはふたつあります。

ひとつめは、「作業標準書に記載されていること以外はしない」こと。

作業標準書は安全・品質(規格)・生産性を満たしながら、誰がその工程に入っても同じように作業ができるためのものなので、それ以外の作業をすればすべてムダになります。

さきほど同様、検査工程で作業をするとしましょう。

例えばペンの出荷検査をおこなうとして、そのペンに目立つホコリのようなものがずっとついていたので、それを落としながら寸法を測るという作業をしていました。

仮にこのペンの製品規格が「寸法」だけなのだとしたら、ホコリを落とすために費やした時間はすべてムダになるということです。

「その会社の」「その作業標準書では」、チェック項目がペンの寸法だけになっているわけです。

もう少し強めに言うと、作業者は作業標準書を基準にして作業をしなければならず、自分が気になったところを修正するのが仕事ではありません。

多くの人が分かっているようで分かっていない、かなり重要な部分ですので憶えておいてください。

それでは、連続してホコリがついていることがいつもどおりのことでない場合は?

すみやかに作業を中断して上長に判断をあおぐのが正規のルートで、ホコリが気になったからといって自分の判断でいつもと違う作業をしていい理由にはなりません。

ホコリと時間を気にするあまり、あせってケガをするとか、寸法を測り忘れるなんてことになったら目も当てられなくなりますしね。

要はあくまでも作業標準書に記載されていること以外はしないでねということなのです。

さて、ふたつめのポイントは、「分からないことがあればすぐに聞く」ことです。

ホコリの例もそうですが、作業標準書と照らし合わせて分からないことがあるなら、すぐに聞いちゃうのがベスト。

だって、作業標準書に載っていないことに関してどれだけウンウンうなっても答えは出ないですから。

私も実際に現場でよく見かける光景で、しかも結構ストップする時間が長い。

解決策が出ないことに関してただ時間を浪費しているだけで、生産数はひとつも上がらない。

これ以上ないくらいのムダになってしまいます。

品質も生産性も下げるムダな行為がある

作業中の「ある行為」で、品質も生産性も、なんなら安全性もすべて下げてしまうムダになるものがあります。

それは「おしゃべり」です。

作業中のおしゃべりは、本来の作業とは別に「話をする」「話を聞く」という行為も一緒にしているので、確実に集中力をさまたげる要因になります。

結果的にこなさなければいけないはずの作業が抜けたり、違う作業をしてしまったりすることになるので、好ましいものではありません。

注意力もあまりない状態になりますので、ケガの要因ともなり安全面でもムダができるのです。

安全や品質のムダは指摘されれば理解しやすいとは思うのですが、そうでないものもあります。

もちろんもうひとつ残っている生産性のムダにつながるのですが、ピンとはこないでしょう?

作業にだけ向いていた集中力が、話をすること聞くことに分散しているので作業スピードは下がります。

つまり安全・品質同様、生産性も下がってしまうのです。

品質・生産性のみならず、その他のあらゆるムダを引き起こすのが「しゃべる」という行為だと認識して作業に臨むべきだと思います。

まとめ

  • 品質・生産性の両立が難しいのは、このふたつがとなり合わせの関係で連動しているため
  • これを解消するのは両者のバランスで、サイクルタイム(ひとつの製品を作り出すのに必要な時間)を注視する
  • コンベア作業では、適正設定されたコンベアのスピードに合わせ、時間を目いっぱいに使うことで両者のバランスを保つ
  • それ以外の作業の場合、サイクルタイムを導き出すのが難しいため、ムダを極力なくすのが重要
  • ムダをなくすには→作業標準書に記載された作業だけおこない、分からないことがあればすみやかに聞く
  • 作業中のおしゃべりは、あらゆる面でのムダを引き起こすと認識する

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