信頼される上司と信頼されない上司、もしあなたならどちらの上司になりたいですか?
まあ、「なりたい」なので好みの問題で終わってしまうのですが、企業の中で大人数をとりまとめるのであれば信頼はされているに越したことはありません。
「んなこといったって現代は結構いろんなタイプの人種がいてさ、まとめるのは難しいんだよ」「いうほど簡単にはいかないよ」
ええ、それは確かですが。
信頼される上司が部下にしていること。大人数をまとめるのに非常に役に立つことは存在します。
そこで今回は、部下に信頼される上司のどこがそんなにすごいのか?またその具体的な内容や理由についても分かりやすく解説していきます。
上手に実践すれば部下のあなたを見る目が変わり、チームもまとまりやすくなる方法なので、ぜひ一読してみてください。
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優れた上司は「部下に任せる」をする
「ええ?そんなの俺もやってるよ!」という方、果たして本当にできているでしょうか。
なにかひとつのプロジェクトがあったとしましょう。そのとき上司が見立てたある部下にこんなお願いをしました。
「このプロジェクト、基本的なところはだいぶできあがってるんだけど、なんか物足りないんだよね。〇〇さんなにかいいアイデアないかな?」
すると部下はこう言います。「実は私も同じことを思っていまして。いいアイデアを思いついたんですよ」
「おお!そうなのか。頼もしい限りだね。今回はあなたの熱意を買ってプロジェクトを任せるよ。お願いできるかな?」
「かしこまりました。ありがとうございます」
・・・とまあこんな感じで話が進んだとしましょう。実はこの上司はここまでは非常にいい対応をしています。
明暗が分かれるのはこのあとです。2パターンに分けて解説します。
暗:結局口出しする
「まずこの部分なんですが、これこれこうだとこうなのでこうして・・・」
「えっと・・・。例えばこうなったときにはどうするの?」
「・・・はい。その場合にはこうしてからこうしまして・・・」
「いやいや待って。そうしたらこうなってこうなるじゃない。そのとき責任とれるの?」
「・・・」
私が例で挙げただけのお話なのに、多分もうすごくイヤな気分になってると思いますがどうでしょう?
ひとつひとつの提案に対して丁寧にダメ出しをし、あげくの果てに失敗したときの責任にまで言及していますね。
部下として思うことは「いや、任せるいうたのになにひとつ任せてくれてないやん」ということです。
上司のお願いがきっかけでやる気・責任感・上司に頼りにされているという喜びを感じながら取りかかったというのに、そのすべてをヘシ折るような、話のコシを折るような行為をしてしまっては、部下の心は二度と戻ってきません。
ではこの上司はどのような対応をするべきだったのでしょうか。
明:任せる
上司は自分の意志で「任せる」と言いました。ならば最初から最後まで任せる。これがとるべき対応です。
「私はあなたを信頼して任せると言った。だからあなたのそのアイデアを存分に発揮してこのプロジェクトをよりよい方向にもっていってほしい。」
「ありがとうございます!」
「もしその途中で上の誰かになにか言われたりしたら私が対応するからそのときはいつでも言いにきていいから」
「任せる」は「任せる」ということです。あなたが信頼するあなたの部下の言動を信頼すること。また信頼した自分の決定を信じること。
だから責任を取るのは部下ではなく上司でなければならない。
さらに上の役職や他の部下と不必要な摩擦がないように、あなたが間を取り持つパイプ役でいなければいけないところです。
部下が心置きなく仕事に集中できるようにサポートする。これは上司であるあなたにしかできないこと。
これこそがさらなるお互いの信頼関係を築く大事な要素になります。
優れた上司は「部下に任せる」をしない
「はあ?部下に任せろっていったじゃん」と思うかもしれませんが、絶対に部下に任せてはならないこともあります。
また別の例をとってお話を進めていきましょう。
「先日の再配達希望で手違いがありまして・・・夕方に届けてほしいとの再送希望だったのですが・・・すみません。忘れてしまっていて」
「うんうん」
「お客様からまだ届かないとのクレームが入っています。もう10時ですが再送したほうがいいですか?それとも明朝のほうがいいでしょうか?」
それではこのあとの明暗を分けた2つのパターンを見てみましょう。
暗:判断を部下に任せる
「あなたの担当配送エリアのお客様だ。あなたの判断に任せるよ」
「承知しました。対応いたします」
・・・さあ、この件に関してはどうでしょうか。ベストな「任せる」にも見えますが。
そうです。残念ながら適切ではありません。
さてさて、さきほどの例とは大きな違いがあるのですが、なんでしょうか。
それは社外の人間が絡んでいるということ。つまり、社内の人間だけで事が済む事態ではなく、企業全体としてのお客様への姿勢が必要だということです。
企業全体の姿勢ということは、まだ一社員である部下に対して判断を仰ぐような案件ではないということです。
これは企業全体の方向性や責任にかかわる上の役職の人間が取り扱うべき重要な判断です。
どのような決断が好ましいのか、明暗を分けるのか。次の2パターンで解説します。
明:上長である上司が判断
先述したように、この例は一顧客からのクレームととれるものですので、判断はその企業を総括するような人間、この場合部下の直接の上長=上司であるあなたとなります。
原因は部下の配送ミスではありますが、社外の一顧客ということで配送業というひとつの団体へのクレームと取らなければならず、クレームへの対応・回答はそのままその企業のカラーとして社会に認識されます。
企業のカラーを決定づけるといえるクレームへの対応や回答は上長にしかできないことです。
つまり、今回のクレームに対しては部下のいうように夜ではあるけれどもスピードを重視して今すぐ届けるのか、夜は配送時間帯ではないし失礼に当たるとして明朝に届けるのか、はたまた別の手段をとるのか。
ポイントは、組織としての対応や回答は上長の指揮系統がしっかりと機能していれば企業全体の中枢がマヒしてぐちゃぐちゃになることもありません。
「事情は理解できたよ。それじゃあ明朝すぐの時間帯で打診して許可が出ればそこで配送しよう。ダメであればもう一度希望時間をお聞きして」
「承知しました。それではそのように対処いたします」
「周りには私が決めたと言っていい。決定した責任は私がとります。だから今度からは充分に気をつけて配送してね。ゴタゴタしたらすぐに連絡をください。対応します。」
「申し訳ありません。今度からは細心の注意を払って配送します。」
ここで重要なのは、部下からすれば自分の対応・回答ひとつで企業に多大な迷惑がかかり、取り返しがつかなくなる可能性もあると考えているということ。
ここをフリーにしてあげるのが最優先です。
「企業としての方針はこうです」とこちらが決めてあげることで部下の迷いを取ってあげ、決定した責任は自分がすべて負うといってあげることで部下を冷静な状態に戻し、いつも通りに動けるように配慮する。
これでお互いに信頼関係が芽生えないほうがおかしいというものです。
「部下に任せる」をしながら「方向性を導く」
ふたつの事例を見てきましたが、ここから分かることは以下の通りです。
信頼される上司とは
「部下に任せる」ができ、企業全体に及ぶ問題には「明確な方向性を指し示す」ことができる人。
信頼される優れた上司がしているのは、適材適所で「部下に任せる」、社員個人で判断できない企業全体に及ぶ問題に対しては「明確な方向性を指し示す」こと。
「どちらも自分自身が責任を負う」これも大切なポイントですね。
まとめ
放任主義でもいけない。過干渉でもいけない。
まるで子育てのようですよね。
自分の責任の上に判断が下せる人は、優れた上司の一歩を踏み出しています。
自分の保身ではなく、部下のために動ける人。
そんな人が上司にいたら部下としてはめっちゃうれしいじゃないですか。
そしてあなた自身もうれしい。そんなWIN-WINな関係を作ってみましょう。