現在多くの医療機関では、新型コロナウイルスの感染拡大防止策として患者との通常の面会はおこなわれていません。
面会にいろいろな制限をかけて、感染リスクを最小にとどめた状態での面会となっています。
私の父は特定疾患の患者で5年ほど前から入院しているのですが、その入院先でも例外なく感染対策・面会制限が取られています。
今回の記事は、私が実際にそういう現状に向き合ってみて感じたこと・思うことを書きつづる、まさに「日記」「備忘録」になります。
お付き合いくださいませ。
コンテンツ
病院での感染防止策
- 面会は事前予約で一度の面会につき人数2人、時間は15分まで
- 病院入口にて設置消毒液による手指消毒
- 受付窓口にはビニールシートの仕切りにて飛沫防止策
- 受付にて温度計で検温
- 予約済みの面会時刻まで受付けフロアでそのまま待機
- 院内にいる全員マスク着用義務
面会事前予約や人数制限は同時刻の来院者が多数になり密にならないための措置。
時間制限は人と人が接触している時間を短縮することで感染リスクを減らします。
食事のときに大人数になるのを避けるのと同じ理由です。
手指消毒や検温はみなさんいろいろな場所で見受けられると思います。
人の体の部位で接触回数が一番多い手と指を消毒することでウイルスを持ってくる、あるいは周りに広げるのを防止。
また、コロナ感染時の症状で多いのが「発熱」ですので、検温でその可能性を探ります。
ビニールシートの仕切りは主に飲食店やコンビニなどで多く取られる措置。
シート自体が大きいですし、マウスガードやフェイスシールドのように上下からもれ出ることも少ないと思いますので効果は高いと思われます。
私が病院に到着して受付を済ませてから面会までの時間は受付フロアで待つことになりました。
これは患者のいる病棟やフロアにいる時間をできるだけ減らして感染リスクを低くする狙いでしょう。
最後にマスク着用についてですが。消毒と同じくらいよく知られていて一番取りかかりやすい対策なので、これは必須でしょう。
最近の研究で分かってきたこととして、マスクの種類も結構大事です。
テレビで拝見しましたが、サージカル(不織布)・ウレタン・布(綿・ガーゼ)の種類のうち、くしゃみの飛沫をほぼカットしたのがサージカルのみで、他の2種類はハデに飛び散っていました。
サージカルの繊維の目は他の2種類よりもこまかくて、しかも不規則に並んでいるのが理由だそうで。
この実験を見ても分かると思うのですが、マスク本来の役目というのは、外からのウイルスやホコリをカットして感染症を予防することよりも、自分が周りにウイルスを散らさないためのもの。
コロナウイルスに感染しても無症状という場合もあるので、「マスクをしないと自分が感染する」ではなく「マスクをしないと周りに広げてしまうかも」の意識を持った方がよさそうです。
リモート面会への切り替え
その病院はコロナウイルスが広がってからは以上のような形態をとっていたのですが、最近の全国的なさらなる感染拡大を受けてリモートでの面会というのを始めました。
いろんなリモートの形があると思うのですが、病院に病室とは別のリモート専用の個室を設けて、用意されたリモート端末から患者と面会するというのがこの病院の方法でした。
この方法については、気になった点がひとつありました。
自分でリモート場所を選ばず、病院の個室を使うということは、この病院のリモート面会者はすべて共通の場所から面会するということです。
・・・面会者、危なくないですか?
おそらく都度換気・消毒はするのでしょうが、なにか引っかかってしまう自分がいました。
まあこれは私個人の意見なのですが、一番大事なのはこのことではありません。
私を含む家族の総意
父への面会希望者は私以外に母と弟がいます。
家族みんなで気にかけた部分は
「父がその面会方法を望んでいるか」です。
これ以前の面会のとき、私の父はマスクをつけた母に「マスクは取れないのか?」とたずねてきました。
要は久しぶりに会ったのに、マスク越しで顔がよく見えなくて残念だという気持ちの表れなのですが、その父に、です。
そういう態度を見せた父に、今回のリモート面接はどう映るのかということです。
自分の病室の目と鼻の先まできている家族が、画面越しで面会をしにきている。これを父は喜んでくれるのだろうか?
答えは、分かりやすいくらいの全会一致での否決です。
動物園の動物がオリの中から食べ物のおあずけ喰らってるような。
一生抜け出せない巨大な迷宮をさまよい続けるような。
父がそんなつらい気持ちになるんじゃないかと思い、リモート面会については断念しました。
もちろん、面会にもいろいろな制限が出ている中、多くの医療機関がそういった機会を設けてくださっていることは私たち家族にはとてもありがたく、嬉しいことです。
同じような環境にいる家族のみなさんの中には「なにキレイゴト言ってんだ」と思っている人もいらっしゃるでしょう。
ですが、家族だからこそ。相手の気持ちが他の人よりも分かるからこそ。その気持ちをくんであげるのが私たちにできること。
「本人の意志」の尊重。これは家族だから軽く見てもいいというものではありません。
本人がどうしたいのかを尊重
冒頭で私の父が特定疾患の患者と言いましたが、くわしくは指定難病のハンチントン病にかかっています。
難病ですので効果的な治療法はなく、ハンチントンの場合は発症からの寿命も長くはありません。
主な症状は不随意運動(意志とは関係なく体が大きく動く)ですが、他の症状も複合的に表れ、その中のひとつに「嚥下(えんげ)能力の低下」も含まれます。
嚥下能力は「食べ物や飲み物を飲みくだす力」で、入院前、医師からは「このまま普通に口から食べ物を摂りつづけると、いつかノドにつまって窒息する」と言われていました。
そのときに私たちが大事にしたのも「本人の意志」でした。
「いつか窒息死することが分かっていながら、楽しんで食べ物を食べる」か、あるいは「胃ろう(胃にチューブを通して液体状の栄養食を直接流し込む方法)で少しでも長く生きる」か。
父は「生きたい」と言いました。
複合症状には「認知症」「情緒不安定」「異常行動」といったものも含まれます。
大きな負担がかかることで共倒れになるのを防ぐためにも、家での共同生活をやめて現在の入院先に看護をお願いしています。
父の意志を尊重しながら、父も私たちもすこやかに暮らしていくための最善策を取ったということです。
ハンチントン病(舞踏病)に関してはこちらの記事にくわしく書いていますので、興味のある方はどうぞ。
→「きょうだい児」の話から健常者が知っておくべきだと感じること
リモートのいい面も悪い面も知ること
皮肉にもコロナ禍が私たちに広めてくれたのがリモートで、リモートにはメリットがたくさんあります。
インターネットという共通の場を使うことさえできればネット上の同じ場所に集まれる。
その存在意義が大きかったのは、移動時間も会社もなしで仕事ができるリモートワーク。
現在は感染症を避ける意味合いが強いですが、移動時間をゼロにした上、それまで移動に使っていた時間を他のことをするのに回せることは誰にとってもプラスなことです。
時間というものは節約はできても増やすことはできないですから。
声だけ文字だけでなく、表情が分かる。リアルタイムでコミュニケーションが取れる。
でも、肌に触れられるわけじゃない。目の前にその人がいるわけじゃない。
その人は画面越しにいる。そして実在している。それを忘れてはならない気がします。
画面越しに人がいると思えれば
人と人が今、確かにコミュニケーションを取っているというリアル感も、
目の前にその人がいない、はかなさみたいなものも。
感じられるはずなんですよね。
そしたらネットでの誹謗中傷なんて起きないんじゃないかなと思うんです。
まとめ
なんか・・・うまくまとまっていないなあという気がするっていうまとめです(笑)。
まあでも、なんていうか・・・。
この先どれだけデジタルが進歩しても
WEB通信のつながりが人と人のつながりを超えることはないんじゃないかなと、そう思っています。ハイ。
ここまでお付き合いくださった方には感謝します。ありがとうございました!