就いている職業や地位によってはどうしても必要になってくる衛生管理者という資格。
資格取得を目指すあなたに、2020年6月に第一種衛生管理者免許を取得した私が、衛生管理者のおおまかな説明から試験の学習準備・学習方法まで分かりやすくできるだけ簡潔に解説していきます。
コンテンツ
衛生管理者とはなんだろう?
衛生管理者は労働安全衛生法に基づく国家資格のひとつで、受験者数がもっとも多い資格です。
主な仕事は職場の衛生(病気や環境)の管理をして、従業員がより働きやすい状態を作り出すこと。
資格が第一種と第二種に分かれており、第一種がすべての業種において管理者となれるのに対して、第二種はその業種に限りがあります。
今回のこの記事については基本的に第一種についての記述になります。
試験の合格率や難易度は?
令和元年度の安全衛生技術試験協会の統計によると、第一種の合格率が46.8%、第二種の合格率が55.2%と高めになっており、難易度はそこまで難しくないと言えそうです。
みなさん学生時代の試験勉強のほうがよっぽどつらくてイヤだったでしょうし、それに比べても難しさというのはあまり感じずに進められると思います。
独学で合格可能?学習時間は?
独学で合格可能です。
受験時点で40代、学習という部分から離れて時間がたった私が独学で合格していますので大丈夫です。
学習時間は個人差があるかもしれませんが、日に3、4時間だとして短い人で数週間、長くても1、2か月あれば充分ではないでしょうか。
学習準備
独学で大丈夫と言っても、どんな事柄、どんな範囲、どの程度の割合で出題されるのかも分からない状態で勉強などできません。
テキストと過去問題集は用意しておきましょう。
教材が何もない状態で勉強し、6800円の受験料を何回も払って受験しなおすくらいなら、しっかりと教材を入手して勉強に臨んだほうが無難でしょう。
私が使った教材
ここで、私が本屋さんでいろいろと比べてみてこれいいなと思ったテキストと問題集をご紹介しておきます。
「どれを選べばいいか分からない」という方は参考になさってみて下さい。
テキスト
まずは私が使っていたテキストの最新版です。
ひとつの項目に対して見開きの2ページでまとめてあったり、配色がよく見やすかったり、言葉だけでは分かりにくいところはイラストや表なども使われたりして、要点も押さえやすいです。
項目ごとで本番ではどのような形で出題されるか出題パターンの分かる問題が用意されており、自分が理解できているかどうかの復習もできます。
赤いシート付属で、暗記できているかのチェックもできるようになっています。
過去問題集
続いて問題集ですが、私が使っていたものと同じものの最新版です。
問題集を選ぶポイントは、ひとつの試験の全44問を一回とした過去問題ができるだけたくさん載っているものです。
一問一答や回数が少ない問題集はあまり効果がないのでおすすめしません。ネット上の問題も同様です。その理由は後述します。
試験の合格基準
先ほど少し触れましたが、試験は全部で44問で、関係法令・労働衛生・労働生理のジャンルごとの得点の40%以上、総合得点の60%以上を両方満たすと合格となります。表として下にまとめます。
関係法令 | 労働衛生 | 労働生理 | |
有害業務に係るもの | 10問(各8点) | 10問(各8点) | |
有害業務に係るもの以外のもの | 7問(各10点) | 7問(各10点) | |
10問(各10点) |
表にあるとおり、1問当たりで見れば「有害業務に係るもの」よりも「有害業務に係るもの以外のもの」のほうが配点が大きいので、第一種を受けるかたはできるだけ取りこぼしのないようにしたいですね。
ちょっと意識を置くくらいでいいですよ。ジャンル関係なくバランスよく得点できるのがベストです。まずは総合得点の60%以上を取ること。そこを目標にしていきましょう。
また、第二種を受けるかたは有害業務に係る問題が除外され、各ジャンル10問ずつの全30問、さらに得点配分は1問各10点になります。合格基準は第一種と同じです。
なお、衛生管理者試験には合格者数の上限がありませんので、条件さえ満たせば全員合格となります。
効率的な学習方法
目標を決め、テキストと過去問題集がそろったら、学習スタートです。
テキストを最初から最後まで読む
先ほど言いましたが、全範囲を読み進めることで「内容はどんな事柄で、どんな範囲、どの程度の割合で出題されるのか」を把握していきます。
ここではすべての内容を覚えきれなくても大丈夫です。
「職場の衛生(病気や環境)の管理をして、従業員がより働きやすい状態を作り出す」ためにどんなことをしていくのか、全体の流れをつかみましょう。
過去問題集を全部、できるだけ回数多く解く
問題集に収められている問題をひたすら解きます。このとき出題傾向やパターンがどんなものなのか感じながら解いてみて下さい。
繰り返せば繰り返すほどそれが似ているものだと気づきます。
ここではその傾向やパターンに慣れることが一番の目的です。
しかしネット上にあるような一問一答のブツ切り状態では、その傾向とパターンを知ることが難しくなります。
まずは全44問のまとまりとして毎回どんな感じで出題されるのか、それに慣れなければなりません。
もちろん間違えたところについては解説を読んだり、該当部分をテキストで見直したりします。
傾向やパターンに慣れてきたら、得点の低さが目立つジャンルがあればそこは自分の苦手なジャンルだと認識してしっかりと補強しておきましょう。
思い込みで解くと間違えることがある
問題を繰り返し解いてきてパターンに慣れてくると、軽い落とし穴があります。
問題文の最後に「正しいものはどれか」「誤っているものはどれか」と書いてあるものが多いと思いますが、中には複雑なものだと
「~することができる項目に該当しないものはどれか」
「~することができる項目に該当するものはどれか」
「違反しているものはどれか」
「違反していないものはどれか」
「許可を必要とするものはどれか」
「許可を必要としないものはどれか」
とか・・・かなりややこしい感じで書いてある問題もあります。
問題文がほぼ同じで選択肢がまるまる変わったものとかもあり、今は大丈夫でも頭がぼーっとしているときほどこの判断が正しく下せないこともあります。
こういった文章のときは該当部分にアンダーラインを引くなどして自分自身で意識づけして、どんな答えを選び出さなければならないのかをよく確認して解答するようにしましょう。
覚えにくいものは割に合うやり方で覚える
例えば各種記録の保存期間をひとつひとつ覚えようとすると大変ですよね?
大体どれも同じ年数ですので、こういった場合、それ以外の珍しい年数を覚えておきます。
計測記録でいえば保存期間は3年のものが多いので、それ以外のものを覚えておきます。
特殊健康診断の記録保存期間はほとんどが5年、それ以外のまれなケースをしっかり覚えるといった感じです。
所轄労働基準監督署長への記録報告義務の有無では報告義務がないことがほとんどなので、報告義務があるほうをしっかりと覚え、それ以外は義務なしだなというふうに考えます。
あと、製造禁止有害物質と製造許可有害物質にあたる物質名とか、まともに覚えるのは結構骨が折れます。
ですが出題されても1問、多くて2問の事項に時間をかけて覚えるなら、他のところをしっかり覚えたり、押さえるべき重要項目を理解し覚えたほうが有益です。
試験問題を解いたあとの見直しにも同じことが言えます。
満点中の60%でも満点でも同じ合格です。60%を確実に取れる方法を取っていきましょう。
まとめ
いかがでしたか?とにかく問題を多く解いて、パターンを体にしみこませることが大事です。
受験者が多く、また試験日も月3~4回はありますから、問題がガラッと変わることはあまり考えられません。
実際の試験時間でいえば3時間で比較的余裕もあるので、前日までにしっかりと準備をして、当日は落ち着いて実力を発揮していきましょう!
こんな記事も書いていますので、参考になさってみてくださいね。