同じ内容を伝えるにもいろいろな言い回しがあるけど、いったいどんな表現があるんだろう?
今回はこんな疑問を解決していきたいと思います。
例えば、コンビニで店員さんとやりとりするときにも、割とくだけた言い方や丁寧な言い方など、いろいろな言い回しがあります。
分かりやすく丁寧度を数値化して解説していきます。
コンテンツ
コンビニ編
手始めに、一番身近なコンビニでのやりとりを例にとってご紹介していきます。
いらっしゃいませ。
レジ袋はどうなさいますか?
つけてください。
ごんざぶろうくんは店員さん、さくらこさんはお客さんですね。
現在、レジ袋は有料化となっていますので、このようなやりとりはよくされるのではないかと思います。
例に挙げた場面では、店員さん側として「レジ袋はどうなさいますか?」、お客さん側として「つけてください。」という言葉が使われています。
どちら側の表現も、私が客観的に見て標準的と感じるものにしました。
つまり、くだけた言い方と丁寧な言い方のちょうど真ん中くらいの表現ですので、10点満点の丁寧度5というところです。
店員側
では、この「どうなさいますか?」の部分を違う言い回しにするとき、代表的な言い方5つにまとめてしてみますね。
「どうなさいますか?」の別表現5つ
- どうする?
- どうしますか?
- どのようになさいますか?(どのようにいたしましょうか?)
- いかがなさいますか?(いかがいたしましょうか?)
- お買い求めになりますか?
特に珍しい表現を使わなければこのあたりになると思います。
では、これらの言い回しに丁寧度をつけて解説を加えていきます。
どうする?(丁寧度1)
日本語を使っている以上、「です」「ます」もつけない言い方となれば相手が友達や家族のときになるでしょう。
ということは、さきほど挙げた5つの例の中では、店員が客に対して扱う表現としては一番丁寧度が低い言い回しになります。
実際、自分の友達や家族がお客さんの場合もあるでしょうが、周りのお客さんはその間柄のことまでは知らないので、使う表現は一定のほうがいいでしょうね。
どうしますか?(丁寧度3)
「ます」をつけて聞いていますので、最低限の丁寧な表現はオッケーというところです。
丁寧度3としましたが、非常識というレベルでもありません。
例えば高校生など、かたくるしい表現に慣れていないと思われる若年層の人はこれ以外の言い方はとっさに出てこないかもしれません。
ですから、まず「です」「ます」を考慮しておけば「失礼な!」と言われるようなこともないでしょう。
どうなさいますか?(丁寧度5)
「です」「ます」の他に「する」の尊敬語である「なさる」を使っています。
「尊敬語ってなに?」という人はこちらの記事も合わせて読んでみてください。
→敬語の種類ってどんなものがあるの?3つの種類別にして簡潔に解説
「どうなさいますか?」は、丁寧ぐあい・言葉の長さ・表現の簡易さなどから見ても、きわめて標準的な言い回しと言えます。
人々の生活の身近な存在であるコンビニの店員さんですから、ほどよい距離感でとてもバランスのよい表現だと思います。
尊敬語の「なさる」の代わりに謙譲語の「いたす」を使って、「どういたしますか?」でも同程度の丁寧度の表現が作れます。
どのようになさいますか?(丁寧度6)
「どうなさいますか?」と大差はありませんが、「どう」という言葉を「どのように」とすることでより丁寧な表現になっています。
例では「レジ袋がいるかいらないか」について「どう」かを聞いています。
ですから厳密に言えば「どのように」とすることで「選択肢が3つ以上ある中から選ぶ」みたいなニュアンスにもなりがちですが・・・。
丁寧さは増して聞こえますので、「まぎらわしい」とか言われることもないはずです。
また、同条件の表現として、尊敬語の「なさる」の代わりに謙譲語の「いたす」を使って「どのようにいたしましょう?」などでもいいですね。
いかがなさいますか?(丁寧度7)
こちらの表現は「どうなさいますか?」の「どう」を「いかが」という丁寧な言葉に置き換えてできあがります。
「どのようになさいますか?」と同じくらい丁寧な言い方と言っていいでしょう。
しかし「どのように」という言葉をまったく別の言葉に置き換えているということで、尊敬語と同程度のものと見て丁寧度は少し高くしてあります。
こちらも尊敬語「なさる」の代わりに謙譲語「いたす」を使って「いかがいたしましょうか?」などとしてもオッケーです。
お買い求めになりますか?(丁寧度10)
レジ袋が「いるかいらないか」ではなく、「買うか買わないか」に主眼を置いて、「お~なる」という尊敬語を使った表現です。
丁寧度としては「なさる」「いたす」と同程度と見てもいいのですが、表現自体が少しかたい感じがする言い方なので満点評価としています。
他の例に比べて言葉数も多めなので、口語(話し言葉)としてはやや重いかなという印象です。
客側
続いてお客さん側です。
「つけてください。」の他にどのような表現があるか見ていきながら、丁寧度を解説していきます。
こちらは3つの表現にしぼります。
「つけてください」の別表現3つ
- つけろ
- つけて
- つけていただけますか?
つけろ(丁寧度0)
正直なところ、丁寧さのカケラもありません。
「カネ払って買ってる客だぞ」的な考えを持つ人は使うかもしれませんが、おすすめはしません。
質問に答えているだけまだマシと言えばマシですが・・・。
つけて(丁寧度3)
「つけろ」に比べて命令口調でないぶん、まだ優しい言い方ですね。
もしレジ袋を求めていない場合、「いらない」「エコバック持ってる」などという言い方になると思います。
ただ、店員側のところでも言いましたが、店員と客とでお互いにあまりよく知らない者同士の場合が多いと思います。
であれば、年齢の上下や客側有利という考えは捨てたほうがよく、店員側も客側も同じ人間同士、最低限の礼儀として「です」「ます」くらいは使ったほうがいいですね。
つけてください(丁寧度5)
最初の会話例でも挙げたとおり、ごく標準的な表現です。
敬語でゴチャゴチャ装飾するでもなく、タメ口になるわけでもない。言葉も短く端的で分かりやすいですしね。
「つけてください」の代わりに「お願いします」でもいいと思います。
レジ袋が必要ない場合は「いらないです」「使いません」「大丈夫です」などの表現があります。
ただ注意したいのは、「大丈夫です」の表現は「いる」とも取れるし「いらない」とも取れるということです。
他の分かりやすい表現を使ったほうがいいでしょう。
つけていただけますか?(丁寧度7)
「~してもらう」の謙譲語「いただく」を使って丁寧に表現したものです。
ただ、丁寧ではあるのですが、ちょっと実用的な表現ではないと言えます。
というのも、レジ袋がいるかいらないかの問いに「?」で返してしまっているからです。
ですから、本来であれば「つけていただきたいです」とでもなるのですが、こうなると回りくどさだけが目立ちますね。
せっかく丁寧な表現にしたのに意味が分かりづらくなってしまうのでは、もったいないですよね。
そう、まさに「つけてください」に比べてゴチャゴチャ感が増しているのです。
このように、敬語や丁寧語を重ねすぎてしまうとゴチャゴチャ感も増しますし、言葉も長くなってしまいます。
バランスのよさも大事です。
また、レジ袋が必要ない場合、「大丈夫です」を丁寧な言葉に置き換えた「結構です」という表現があります。
しかし、これも「大丈夫」同様、「いる」とも「いらない」とも取れてしまう表現です。
必要以上に丁寧にしてしまうとややこしくなりますし、これ以上の丁寧な表現を使わなくても誰も責めたりはしません。
もちろん「結構です」と答えてもいいのですが、いらないトラブルを防ぎたいならシンプルに「いりません」「使いません」で充分です。
まとめ
丁寧な言い回しにも様々あるということがお分かりいただけたと思います。
これらの表現を知識として憶えておくのは重要です。
ですが、コンビニでのやりとりのように日常生活のヒトコマで使うのであれば、「分かりやすく、短く、端的な表現」というのはもっと重要です。
丁寧さと分かりやすさのバランスを考えてみると、また違った角度での言い回しに出会えますよ。