自分が飼っているペットに服を着させようとしているけど、嫌がる。
どうすればいい?
柴犬を15年間飼った経験のある私が、こんな疑問にお答えしていきます。
そもそもペットに服を着せるのはいいのか悪いのか?その理由は?
理想としてはどんな状態がいいのか?
順を追って解説していきます。
コンテンツ
服は着せないほうがいい
ということで、「ペットに服は着せないほうがいい」というのが私の結論です。
理由を3つ挙げながら解説していきます。
着せないほうがいい理由3つ
- 体温調節
- ストレス
- 能力の劣化
体温調節
ひとつめの理由は、ペットの体温調節機能の影響。
ペットになにを飼っているのかにもよるのですが、犬や猫であるならば私たちと同じ哺乳類に属するので「恒温動物」ということになります。
この恒温動物は、自分の体の機能によって体温を自動調節できる特徴があります。
とはいえ、実は私たち人間とは違い、犬や猫は「汗をかく」ということをしません。
(厳密には肉球からは発汗していますが。)
代わりに、そのほとんどの調節を舌から発散させた蒸気でおこなっています。
つまり、人間よりは体温調節が難しいということ。
そのため、夏場は体に熱がこもりやすくなり、体調にも影響が出やすい。
逆に言えば冬場に関しては人間ほど放熱をしないので、夏場ほどの心配をする必要がないのです。
また、犬や猫には季節によって抜け替わる毛があるので、人間でいう衣服の変化を自然におこなっているイメージ。
夏場こそ細心の注意が必要ですが、冬場に関してはそこまでではない。
むしろ、服を着せることで熱がこもりすぎて自然調節をさまたげる結果にもなり得ますよ。
ストレス
ふたつめは、ペット服の脱着や着替えの行為自体が、純粋にペットのストレスにつながる可能性があるため。
理由としてはこれが一番大きいですね。
例えば、ハーネスの脱着ですらストレスになりかねないというのに、ペット服ならもっと・・・ということは想像がつくと思います。
ペット服の脱着などでペットが吠えたり逃げたりして明確なサインを出している場合ならなおさら。
それを徐々に慣れさせて・・・なんていうのは、ペットにとってみれば恐怖や嫌がらせでしかない。
ペットが受け入れてくれているならともかく、嫌がるそぶりを見せているなら無理に推し進めることはしないほうが得策です。
能力の劣化
みっつめは、身体能力・五感などがさまたげられる、劣化する可能性があるためです。
本来、人間よりも動物のほうが危険に対する察知能力や対応能力は敏感で高いです。
ところが、服を着ることで体の動きも触覚もにぶくなります。
ペットは四本の足を連動させて体を動かすので、二本足で動く人間に比べて足は重要な部位。
例えば、その四本の足の自由がちょっと利かなくなるような構造の服は問題なわけです。
また、服として布を1枚まとうと触覚が鈍ります。
人間も同じですね。素肌のほうがより感度は増す。
ですが、人間よりも感覚がするどい動物にとっては、その1枚が命取りとなってしまうことがある。
結果として、ペットに元々そなわっている能力を奪うことになってしまう。
また、飼われていない犬や猫というのは服は着ていないと思いますが、そもそも服を着ていないからといって命は落としませんよね。
服を着させられているペットと、服は着ずに野放しになっている野生の犬や猫。
能力の劣化に大きく関わるのは、「人間が過剰な接し方をしているかどうか」。
ペットが本来持っている能力を奪うことなく、自然に接することの重要性が分かると思います。
着せてしまう理由3つ
では、それでも飼い主がペット服を着せようとするのはなぜなのか?
飼い主の心理に立った解説をしていきます。
着せてしまう理由3つ
- ペット愛が強すぎる
- ペットのステータス化
- 慣例化
ペット愛が強すぎる
最近ではお子様をかわいがるのと同じくらいの愛情をペットにそそぐ人もいらっしゃいますね。
愛情を注ぐことそのものはとても大切なこと。
相手が人であろうとペットであろうと関係ありません。
ただ、忘れないでほしいんです。
ペットは人間ではないということを。
さきほどの体温調節の例もそうですが。
他にも、人間と同じ食べ物をずっとペットに与えていたら悪影響もありますし、最悪命にかかわることにもつながります。
「ずっと同じペットフードではかわいそう。たまにはおいしいものも食べさせたい。」
気持ちは充分に分かります。
ですが、ペットフードはそのペットに合った最適な材料や配合で成り立っています。
試しにペットフードを食べてみてください。
決しておいしいと言えるものではないはずです。
でも、あなたが飼っているペットには最適の食べ物。
飼い主がおいしいと感じるものをペットもおいしいと感じるとは限らないし、人間にとって体にいいものがペットにとっていいものだとも限らない。
結局、一番長生きできる最良の食べ物はペットフードなんですよ。
要は、飼い主の主観ではなく、客観的にみて判断してほしい。
「飼い主がこうしたいからこうする」ではなく。
ペットの性質・特徴や性格をよく観察して、それに合わせて接していく。
過剰な愛は、与える側の単なるエゴだったりします。
愛情を注いでいるつもりが、まったく逆の結果をまねくこともある。
命と向き合うのであれば、そのくらいの覚悟は必要です。
ペットのステータス化
得てして、ブランドものに身を包む人と同じような錯覚におちいっている人も中にはいます。
特定の動物であったり、その動物の種類であったり。
世間から目を向けられるような、うらやましがられるようなペットを飼い、自分のステータスにしてしまっている人。
そういう人は、ペットに着せる服に関しても同様の考えを持ってしまいがちです。
道行く人から「かわいい服を着てるね」とか「その服センスいいですね」、「どこで買ったの?」とか注目してほしいと。
いや、別に自分が身につけるものに関してだったらどんなふうに扱おうとかまわないと思います。
しかし、身につけるのが自分の子供であったり、ペットであったりするのであれば話は違う。
ペットは飼い主を輝かせるための装飾品では決してないし、モノではありません。
こちらもさきほどと同様、飼い主の主観で見ることなく、ペットの身になって考えることが重要。
つまり、「そうすることでペットが本当に喜ぶのか?」を客観的に考えることです。
飼い主のエゴで終わっていないだろうか?
熟考する必要があります。
慣例化
これは、「ペットには人間と同じように服を着せるのが当たり前」という概念を疑うということです。
現在は本当に様々な用途や形状など、豊富な種類に富んだペット服が売られています。
ですから、安易に考えてしまいがちなんです。
「あのおうちのワンちゃんも服を着てる。うちも着せなきゃ」って。
繰り返しになりますが、人間とペットは違う生き物。
人間とペットでは体の仕組みなどの相違点があるので、ペットに合わせた接し方が必要です。
「周りがしているからする。しないからしない」
そんな選択を続けていれば、いつか取り返しのつかない事態になりますよ。
命と向き合う以上、飼い主側もそれ相応の覚悟を持たなければならない。
覚悟をもって選択をするということは、自分の意志で決断をするということ。
周りがどうなのかは関係ありません。
まとめ
ここまでをまとめると、ペット服は着せないにこしたことはないということ。
とりわけ、「ペットのストレスをできるだけ軽減させる」観点から客観的に見るようにすれば、答えが分かりやすいです。
ペットは言葉を発しません。
ですから、言葉以外の部分から深く気持ちをくんで、そのペットに合った唯一の方法で接してあげてくださいね。