今、製造業に就いてるんだけど、仕事をガンガンこなせるようになるコツみたいなのはないかな?
こんな疑問にお答えしていきます。
筆者の私、かむは現在製造業に従事して15年ほど。
この間につちかったノウハウを還元することで役立ててもらえたらと思います。
今回紹介する5つのポイントを押さえれば、作業をこなせるようになるまでの期間が短くなりますよ。
コンテンツ
5つのコツ
それではさっそく5つのポイントを見てみましょう。
ポイント
- 常に無感情
- 両手で作業
- 私語をなくす
- 1サイクル徹底
- 急いでもあせらない
常に無感情
タイトルの文字ヅラだけを見ると鬼のようなことを言っているように思えるかもしれませんね。
でも、かなり大切な要素です。
まるで機械になったかのごとく、ただひたすらに作業を繰り返すこと。
最初はなかなか難しいことかもしれません。
でも、慣れればできるようになりますから大丈夫。
どんなに情緒が安定している人でも、少しずつは気持ちに変化を持ちながら過ごすのが普通です。
それが心を持つ人間なので。
この、はしばしで感じる喜怒哀楽の感情をできるだけゼロに近づけることが重要になります。
例えば、「アッ!作業を褒められた!嬉しいいいっ!」とか。
「あいつ、作業遅いな。こっちの作業まで止まってるやん」とか。
「あー。あんなことでミスすると思わなかったなあ。ヤバすぎる」とか。
「うっひょー!夜勤のせいか、なんかテンション上がってきた!」とか。
これらは製造業をこなす上で「雑念」になってしまうので、できる限り切り捨てたほうがいいのです。
もちろん、接客業などでこんなことをしてしまったら大問題。
マニュアルは存在しても、ひとりひとりの人間に対して臨機応変にしていかなければなりません。
ですから、目の前にお客様がいるという対人のケースで無感情になるなど、自殺行為に等しいと言えるでしょう。
ですが、基本的には製造業というのは「モノづくり」の仕事です。
目の前にお客様がいて対応するわけじゃない。
設備トラブルなどはあるとしても、基本的に同じ作業をミスなくこなすことで勝手に回っていく。
誰がどの工程についたとしても、マニュアル(標準作業)どおりに抜かりなく同一に作業できるかどうかが重要。
就労中、臨機応変にするというより、むしろ変化してはいけない業種であると言えます。
だからこその「常に無感情」というポイントに戻ります。
作業内容を褒められて喜ぶことは決して悪いことではありません。
むしろ、モチベーションを保つための大切な要素。
ですが、喜びを引きずることで作業に支障が出るなら話は違ってきます。
浮かれ気分のままでいたがために作業に抜けが出る、ケガをする、生産数が下がる。
よくあることです。
喜んでも、スッと切り替えて戻らなければなりません。
イライラや動揺、大きな気持ちの高ぶりも同じです。
そういう感情は出さないほうがいいですし、出てしまってもすぐに切り替えるようにクセづけをする。
喜怒哀楽を引きずらないことが、ひいては製造業において重要な安全・品質・生産性をキープするということにつながります。
もちろん、休憩中やプライベートなどでは作業者同士でコミュニケーションを取り合ったりして、チームワークにつなげていきましょう。
両手で作業
誰しも利き手というものがあるかと思います。
仕事にかかわらず、基本的に利き手を使いながら生活しているかと思いますが、製造業では可能な限り両手を使うことが大切になってきます。
これは単純に、片方の手で作業するよりも両手で作業したほうがスピードアップするから。
あるひとつの作業をこなすのに片手があれば充分だけど両手を使う、というのではありません。
右手と左手でふたつの別の作業を同時進行させるというイメージです。
例えば、水道水を容器にそそぐとき、片手で蛇口をひねり、もう片方の手で容器を持って受けるといった感じ。
右手で蛇口をひねって、右手で容器を持ち直して水をそそぐといったことはしないはずです。
つまり、私たちが日常生活で無意識下で効率の良さを選んでしている「水をそそぐ」という行為と同じ要領ですね。
前述しましたが、これはあくまでも「可能な限りの範囲で」おこなってください。
例えば、ふたつの作業のタイミングがまったく違うのに、むりやり同時にこなすのは難しいですよね?
逆にそれであせってしまっては、安全も品質も生産性も望めない最悪のパターンになってしまいます。
少し難易度高めですが、私の実体験では、右手で製品中心部分のボルトを締め「ながら」、左手で小さめのボルトを締めるといったような同時進行できる作業のことです。
「同時進行できそうな作業はないかな?」と常にシミュレーションしながら工夫していくといいですよ。
私語をなくす
「私語」は私の経験上、一番大きなヒューマンエラーになりうるなと思っている原因です。
「ヒューマンエラーってなによ?」という人は、別記事でくわしく解説していますので、合わせてどうぞ。
→ヒューマンエラーの事例から学ぶ知識と対策を分かりやすく解説
→実はそれヒューマンエラーです!ありがちな行動に潜む危険とは?
言葉を使ったコミュニケーションは必要不可欠と言えるほど大切なことですが、仕事中、こと製造業となると、大きな損失になることが多いです。
どんなに器用な人でも、話をしながら仕事をするということは、ある程度は「話をし、または聞くことに気を向けている」状態です。
普通に考えても、その状態で仕事まで同時進行でぬかりなくこなすことなど難しいと分かるでしょう。
これは両手作業の同時進行とは大きく異なります。
両手作業の同時進行は、あくまで同じ「仕事中」でのものですが、こちらは違います。
仕事とそれ以外のことを同時進行している。
なんなら仕事以外に「話す」「聞く」「意識を仕事以外に向ける」をこなす。
取りこぼしがないほうがおかしい、という状況と言えます。
実際問題、私自身も、抜けが起こるタイミングというのは圧倒的に「話をしながら作業をしているとき」が多いです。
作業を切れ目なく連続でおこなっているときよりも、なにかの原因で作業が中断されたとき、注意力が他にいったときが一番危ない。
自分からおしゃべりを始めたときだけではなく、誰かに話しかけられ乗っかってしまったときなども要注意のタイミングですよ。
1サイクル徹底
製造業において、その工程での一番最初の作業から一番終わりまでの作業をひとつづきで終わらせることを「1サイクル(1工程)を終わらせる」と言ったりします。
人間、どんなに集中していても、気が散る要因が間に挟まればいとも簡単にそのリズムを崩すものです。
落語のわりと有名な話に「時そば」というものがあるのですが、いい例です。
江戸時代のこと。そば屋で食べたそば代をごまかすために1枚ずつおかねを払うフリをしながら、客がふとした瞬間に店の主人に現在時刻を聞きます。
客「ひい(1)、ふう(2)、みい(3)、よお(4…)、いつ、むう、なな、やあ・・・おい、オヤジ。今なんどきだい?(何時ですか?)」
主人「へえ、ここのつ(9時)でさあ。」
客「とお、じゅういち・・・」
つまり、おかねを数えている最中に店の主人に時間をたずねて気を散らせて、そのぶん(9枚目のカウント)をごまかして払おうとした、ということです。
製造業では、例えば「設備トラブルが起きた」「部品が足りなくなって補充した」「誰かに話しかけられた」・・・などが「気が散る要因」となります。
作業中に気が散る要因が挟まると、どうしてもそっちに気がいってしまって、抜けが発生する。
それを未然に防ぐための方法が「1サイクルを終わらせてから別のことをする」なんですね。
設備トラブルが起きて対応するときも、部品を補充するときも、誰かに話しかけられて受け答えするときも。
必ず1サイクルを終了させてからにする。必ず。
そうすればイレギュラーな出来事で抜けが発生することは防げます。
急いでもあせらない
製造業には日当たりや月当たりのノルマがある場合が多いので、どうしても「生産数」との勝負になることは否定できません。
そんな中で一番してはいけないのが「あせること」。
製造業は「安全第一」とよく言われますが、「あせり」は安全をおびやかす要因にしかなりません。
大型設備なども併用しての作業も多く、一歩間違えれば死亡事故につながるのが製造現場です。
だから、あせってはダメ。
前述したとおり、生産数との勝負になるのは仕方がない部分もあります。
そういうときは決して「あせることなく」、「急ぐこと」が必要な場面も。
手先は効率よくスピーディーに動かしながらも、安全品質といった面も充分配慮し、「急ぐ」。
心は動じることなく冷静に「急ぐこと」が大切です。
「あせる」は気持ちの動き。無感情で仕事することからは離れた考え方です。
効率的に動いて「急ぐこと」を考えましょう。
まとめ
今回の5つのポイントというのは、ひとつでもショートカットしてしまうとすべてのバランスが崩れてうまく回らなくなることばかりです。
これらのポイントを確実に実行することで初めて「製造業をガンガンこなす」が可能になります。
とはいえ、まずはくれぐれも安全第一でお願いしますね!