「会話のキャッチボールがうまくなるためには具体的にどんな練習をすればいいの?」
こんな疑問にお答えしていきます。
今回は、話し手編をお送りします。
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役回りは2種類
会話のキャッチボールをする上で、あなた自身がこなす役回りというのは大きく分けて2種類あります。
- 話し手(ボールを投げる)
- 聞き手(ボールを受ける)
野球でいうところのキャッチボールは、ふたりいるうちの片方の人がひとつのボールを投げ、もう片方の人がボールを受ける。
今度はボールを受けた人がボールを投げ、もう片方の人がボールを受ける。この繰り返し。
会話でも同じことが言えます。
話し手がする話を聞き手が受けて、今度は聞き手だった人が話す側に回り、話し手だった人が受ける。
つまり会話のキャッチボールは、話し手と聞き手が交互に交代しながら進んでいくものだということです。
とはいえ、初めから話し手と聞き手をうまくこなせる人というのはそんなに多くはないと思います。
ですから、まずは話し手と聞き手のどちらかひとつ、自分が得意そうな役回りを選んでマスターすることから始めましょう。
「会話のキャッチボール」がどんなものなのか、もう少しくわしく知りたいという人はこんな記事もどうぞ。
→会話のキャッチボールってなんだろう?【ボールはひとつだけある】
また、話し手のほうから練習したい人はこちら。
話し手側の練習方法
話し手側の練習方法として、ポイントは3つ。
話し手側の練習ポイント
- 聞き手のイメージを探る
- 話の内容の映像化
- ネガティブ・ダークなテーマを避ける
聞き手のイメージを探る
ひとつめとして、大体でいいので、聞き手のイメージに合うのか合わないのかを考えて話を進めるのがいいでしょう。
単純なところで言えば、例えば男性を相手にしているなら、「メイクや恋バナ、スイーツネタは響かないだろうな」というイメージ。
女性を相手にしているなら「歴史やバイク、釣りの話をしても分からないだろうな」というイメージ。
なぜそんな面倒なことをする必要があるのか?
その理由を探るために、逆の立場になって考えてみましょう。
例えば、あなたが自分の興味がないもの、まったく知らないことを熱く語られたらどんな気持ちでしょうか?
「いや、そんなつまらない話、聞きたくないし」「めっちゃ熱くなってるけど、全然知らないからなあ。温度差がすごい」
そう感じませんか?
もちろん、よく知った相手であれば「なにが好きでなにに興味がある」などの情報があるから話もしやすいですね。
しかし、初対面やまだあまり話したことのない相手のときはその情報がありません。
ですからなおのこと、その人の第一印象でのイメージや話したときの感覚を大事にして、情報を広げながら進める必要があるということです。
「そんなもんは面倒だ!」というなら、一般的に老若男女に広く響くであろう話題で話すのもいいでしょう。
例えば、生活に身近なもの。コロナだから大変だとか、コンビニのあの食べ物がおいしいとか、はやっている映画などのトレンド話とか。
要は、話し手だからといってなんでもかんでも自分が話したいことをガンガンつないでいけばいいということではないと認識することが重要です。
どうせなら、話している人も聞いている人も楽しくなるような会話がいいじゃないですか。
最初に言ったとおり、話し手と聞き手を交互に繰り返すのが会話なので、意識のかたすみに置いておきましょう。
話の内容の映像化
表現の仕方がかたくてよく分からないかもしれませんね。
くだけた言い方をするならば、くわしい説明でイメージしやすいようにするということです。
例えばお笑い芸人のみなさんは、ささいな日常の出来事でさえ、聞き手がイメージをしやすいように工夫して話しています。
こんな出来事があったとします。
「インスタントコーヒーを入れたとき、砂糖と塩を間違えた。」
まあ、これをそのまま人に伝えても伝わらなくはないと思いますが、こんな表現はどうでしょうか。
「昨日久しぶりに家でインスタントコーヒーを作ったときに、少し甘さを加えようと思ってコーヒーの粉と一緒に砂糖を入れたの。
なのにちょっと飲んだら『しょっぱ!』ってなって。よく見てみたら砂糖と塩を入れ間違えてたの。でもうちは砂糖は右、塩は左に置いてあるのよ。
『ちゃんと右を選んで入れたのになんで?』と思ってたら、料理を作るときに使った砂糖と塩を、ばあちゃんが逆に戻してたみたい。」
見た目が似ている調味料の砂糖と塩を入れ間違えるという平凡なお話。
そこにちょっとひと手間で、聞き手がまるでその場にいたかのような情感と情景のイメージを与えることができるまでになります。
話の内容の映像化のポイントは3つ。
- 情景描写をこまかく言葉で表現する
- 情感をセリフや擬音で表現する
- オチをつける
情景描写に関しては、「いつ」「だれが」「どこで」「なにを」「どのように」といった基本的なところを押さえるだけで話に厚みが出てきます。
情感に関して、例文中では『しょっぱ!』『ちゃんと右を選んで入れたのになんで?』あたりが該当します。
そのときの自分の気持ちをややおおげさにセリフで表現すれば、臨場感が出て聞き手側もグッと身を乗り出してしまうでしょう。
セリフ以外では擬音も効果的。さきほどの例文中に擬音を入れるのならこんな感じ。
なのにちょっと飲んだら『しょっぱ!』ってなって。ブハっと噴き出してしまった。よく見てみたら砂糖と塩を入れ間違えてたの。
セリフや擬音を混ぜることで、話全体に勢いがプラスされます。
最後、オチをつけるに関しては、できればで構いません。
話し手側としてオチをつけて話すことは魅力のひとつではありますが、話し手の練習そのものに必要かと言えばそうではありません。
コツだけ言いますと、間に「なぜ?」をはさんで考えると導きやすくなります。
【いつもどおりの場所にあるはずの砂糖と塩が逆に置いてあった。→なぜ?→ばあちゃんの戻し間違い】
ネガティブ・ダークなテーマを避ける
これは少し考えれば分かると思いますが、聞いていて気分が落ち込む話や気分が悪くなる話は、多くの人が望んでいないものです。
変化球として、たまにブラックジョークや皮肉をまじえながら話すのはいいかもしれません。
しかしそれも毎度のごとく続けていれば、「ああ、またあの人の話か。あの人の話はロクなものがない」と距離を置かれてしまうでしょう。
また、マイナスの話の場合、知らない間に同じ負の感情や雰囲気が周りに伝染して広がってしまうのが一番怖いのです。
同じ「話す」であれば、周りの人が笑顔になり、いい雰囲気が広がるような内容の話を心がけていったほうがいいですからね。
そういう意味では、元から議論を呼ぶような内容の話は避けたほうがいいでしょう。
例えば、「鬼滅の刃はおもしろい派?おもしろくない派?」などという振り方をすれば答えはどちらかひとつしかありません。
どちらの答えもあって当たり前なだけに、トークというよりはただの議論になってしまい、その場の雰囲気まで悪くなりかねません。
振るのであれば「鬼滅の刃の魅力ってどのへんにあるの?」とか、「鬼滅の刃があまり好きになれないのってどうして?」とかですかね?
YesNo方式にさえしなければ、意見まっぷたつという感じになりにくく平和的でもあると考えています。
まとめ
というわけで、ここまでは話し手側の練習方法を解説してきました。
こうして見てみると、聞き手側のことも少し考えながら話していく必要があることに気づくでしょう。
そう、キャッチボールでは「相手のとりやすい場所にボールを投げる」ことも重要になってきます。
そして次回解説する「聞き手編」を学ぶことで、話し手と聞き手のコツが分かり、会話全体を回していく上でカギになる部分が分かってきます。
そう遠くない未来の聞き手編をお楽しみに!